2017.11.8 (水) 売る人よりも買った人を信用する
人は、商品を売る人の言うことよりも、その商品を買った人の言うことを、より、あるいは圧倒的に信用する。
ホアヒンに旅した人が、自分の滞在しているホテルは最高とのコメントをfacebookに上げ、それを誰かがシェアしたものを先般、家内が目にして僕に教えた。僕はそれを横から覗いて「ふーん」と返事をし、しかしそのホテルの名をメモすることはしなかった。ホアヒンはシャム湾に面した、タイの王室が離宮を持つ街だ。
昨年の2月、バンコクの中央駅フアランポーンからタイ最南端の駅スンガイコーロクを目指す途中、どこかの駅に停まった。右手には、信じがたいほど美しく整備をされた広大な庭が、夜間照明により浮かび上がっていた。「一体全体、ここはどこだ」と確かめようとするうち車両は動き始めた。寝台車の席を慌てて立ち、連結部分から二等車に急いで外を見ると、これまで写真でしか目にしたことのなかった、しかし一目でそれと分かるホアヒンの駅舎が後ろに去るところだった。
王室が離宮を持つリゾート地、のようなところに僕は興味を持たない。しかし家内には、何やら行きたそうなそぶりも窺える。行くならやはり、バンコクから列車、それも三等車というのが僕の趣味である。
列車での移動は、タイ人にはまったく人気が無い。長距離バスにくらべて乗り心地が悪く、ひどく遅れることが、その理由だ。僕がスンガイコーロクを目指したときには、フアランポーン13:00発の列車は、時刻表によれば16:59にホアヒンに着くはずだった。しかし実際には、ホアヒンには18時を隨分と回ってから着いた。ほんの2、3分の遅れでも車掌が車内放送で詫びを入れる日本からすれば、タイの鉄道は救いがたくだらしない。つまりは”exoticism”である。
タイ国有鉄道南線の下りでホアヒン駅の右手に見えた「信じがたいほど美しく整備をされた広大な庭」は、かつては王室の専用だったロイヤルホアヒンゴルフコースと、後に知った。ゴルフはしない、リゾート地には興味のない僕ではあるけれど、あの列車にふたたび乗れるなら「行ってみようか」という気持ちも起きないではない。
人は、商品を売る人の言うことよりも、その商品を買った人の言うことを、より、あるいは圧倒的に信用する。そして僕は、その商品を買った人の意見よりも、自分の感覚を大切にしたい。ホアヒンのホテルについては早速、調べてみよう。外れを引いても自己責任であれば、どうということもない。
朝飯 納豆、揚げ湯波と小松菜の炊き合わせ、蓮根のきんぴら、白菜漬け、巻湯波の淡味炊き、たまり漬「一口大根」、メシ、揚げ湯波と万能葱の味噌汁
昼飯 コロッケパン、コーヒー
晩飯 切り昆布の炒り煮、白菜漬け、大根おろしを添えた厚焼き玉子、蓮根のきんぴら、肉豆腐、鯛の味噌汁、鯛飯、「勝山酒造」の「献・純米吟醸」(冷や)、柿