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清閑 PERSONAL DIARY

2017.9.30 (土) タイ日記(6日目)

“Dusit Island Resort”はコック川の中洲に建ち、街とのあいだには1.5キロの距離がある。街で用を足すためには往復3キロを歩かなければならず、不便といえば不便だ。しかし木と漆喰による重厚で落ち着いた屋内、部屋からの良好な眺望、朝食の豊かさなど、他のホテルには代えがたい良さがある。

オムレツは、コンロの右側に用意されている6種の具すべてを入れてもらう。お粥も、生玉子を除くすべての具を入れてもらうつもりでいたが、僕の説明不足から、全部入りは全部入りでもガオラオ、つまりスープになってしまった。しかしそのスープも、もちろん悪くない。

今日は朝からどんよりとした空模様だった。やがて雨も降ってきた。よって午前中は部屋にいて、きのうの日記を書いたり、あるいは調べごとをしたりする。昼がちかくなるころ、降ったり止んだりしていた雨が上がる。身支度を調え、街に出る。昼食はいままで入ったことのない店で、僕としては珍しく、カレーライスを食べた。

チェンライの酒屋は品揃えが少ないところから、好みのラオカーオ”BANGYIKHAN”は、チェンコンの”TESCO Lotus”で見かけて2本を確保しておいた。本日、行きつけの酒屋の店の中を通りから覗いたら、今回に限ってはその”BANGYIKHAN”が何本も並んでいるのだから皮肉なものである。

ホテルに戻る途中で晴れてくる。それと同時に、一気に蒸し暑さが増す。部屋に入ってシャワーを浴び、ベッドに横になる。そして窓から緑の疎林、青い空、白い雲を眺める。いつまで部屋にいては勿体ない天気だ。タイパンツをパタゴニアの短いパンツに履き替え、プールサイドに降りる。そして16時30分まで本を読む。

旅先で便利や不便を感じるたび、そのことを忘備録に箇条書きする。「チェンライのサタデーマーケットでは、17時から通りに入り、18時に広場へ行かないと良い席は取れない」というのも、そのひとつだ。その注意書きの時間にすこし遅れて外へ出る。途中の、旧時計塔が17時17分を指している

土曜市の開かれるタナライ通りには、今すぐにでも商売の始められる露店もあれば、準備中の店もある。その驚くほど長いにわか作りのマーケットを通り抜け、セブンイレブンで氷を買う。昨年は見かけなかった、生の状態で選び、店の奥で焼いてもらう式の串焼き屋に目が留まる。ここで7本を購入し、更に別の店でホイトードを買う。そしていよいよ広場に入っていく。

「18時に広場へ行かないと良い席は取れない」という僕の覚え書きは甘かった。広場の椅子は、そのほとんどが埋まっていた。モーラムでもルークトゥンでもなさそうだけれど、しかしポップスでもない歌のライブが行われる舞台からはかなり離れたところにようやく席を見つけ、ここに今しがた買った肴と氷、持参したラオカーオとソーダを広げて晩酌を始める

30分ほども経つと日は落ち、広場には人が満ちる。右に左に視線を泳がせつつ席を探す親子を手招きする。椅子に座れると座れないとでは大違いだ。帰りぎわ「あなたもお礼を言いなさい」と両親にうながされ、長男は僕にに合掌をしながら「コップンクラップ」と頭を下げた。思わず僕も立ち上がり、手を合わせる。間もなく、男ふたりを引き連れたオネーチャンを、これまた手で招く。彼らにもまた、感謝の意を伝えられる

同席者を得ると、そこから安心して離れることができる。ペットボトルには不覚にも、きのう飲んだ後にラオカーオを足しておくことを忘れていた。よって通りを隔てたセブンイレブンまで缶ビールを買いに行き、串焼き屋で4本を追加注文する。

チェンライのこの土曜祭には、指折り数えてみれば僕は5年連続で来られている。有り難いことだ。歌のオジチャンは今夜も絶好調であり、その歌に合わせて踊るオバチャンたちも、また絶好調である。それにしても、土曜日の夜にタナライ通りに出る屋台の種類と数の多さ、また広場での踊りや食事を楽しむ人たちの数には圧倒されるばかりだ。そして昨年、実際に目にしたことだけれど、明日になれば、この広場は綺麗に片付けられ、ひとつのゴミも残さないのだ。見事と言う他はない。

チェンライに、これほど素晴らしい週末夜市を実現させたのは、どこの誰だろう。そしてそれを今なお続けられている理由は何だろう。できることなら関係している人から話を聞いてみたい。

帰り道では、中学生と思われる年ごろのブラスバンドが演奏をしていた。上手とは言いがたかったが、20バーツを箱に入れる。旧時計台のある市場まで戻ってくると、時刻は20時を過ぎていた。そこから更に10分ほどを歩いてホテルに戻り、シャワーを浴びて即、就寝する。


朝飯 “Dusit Island Resort”の朝のブッフェのサラダとオムレツ、トースト、コンデンスミルクを底に沈ませたコーヒーガオラオ
昼飯 名前を知らない店のゲーンハレー、ごはん
晩飯 サタデーナイトマーケットの屋台のモツ焼き、小さな貽貝のホイトード、ラオカーオ”BANGYIKHAN”(ソーダ割り)、チャンビール

  

上澤卓哉

上澤梅太郎商店・上澤卓哉

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