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清閑 PERSONAL DIARY

2017.9.2 (土) 味の記憶

「タイの味は甘い、辛い、酸っぱいが特徴とは本当か」と訊かれることがある。そう問われて、年に2度か3度は訪れているタイの、食べ物の味を思い出そうとする。しかし僕の舌に「甘い、辛い、酸っぱい」は記憶されていない。

タイへ行けば、その第一食目から現地のメシを食べる。そのとき「さて、これからいよいよタイの味を楽しむぞ」というような意気込みは無い。日本にいるときと同じく、そこには恬淡とした気持ちのあるばかりだ。

家庭菜園で収穫した青唐辛子を、またまたフクダナオブミ製造部長がくれた。「気が遠くなるほど辛いから注意してくださいよ」と、先般に続いて今回も言われた。そう言われても、どうということはない。

昼にラーメンを作る。もらったばかりの青唐辛子は1本を水洗いし、種の入ったまま薄く小口切りにする。それをすべて、スープに投入する。冷蔵庫に半割にしたライムを見つけ、これまたスープに絞り入れる。食べながら飛び散らすスープでテーブルを汚さないよう、広げた新聞紙の上にドンブリを置く。

今日のラーメンのスープは、辛いといえば辛い。しかしその辛さは、しばらくすれば忘れてしまうほどのものだ。旅先で口にする諸々のように。

ラーメンを食べ終えたら、そのドンブリは鍋やザルや菜箸とともに、即、洗う。そして落ち着いて新聞を読む。


朝飯 生のトマト、茄子とピーマンのソテー、「なめこのたまりだき」のフワトロ玉子、揚げ湯波と小松菜の炊き合わせ、塩鮭、刻みオクラの鰹節かけ、メシ、豚肉と茗荷と万能葱の味噌汁
昼飯 ラーメン
晩飯 大根おろしを添えた揚げ茄子、鮭の昆布巻き、刺身湯波、烏賊の刺身、ほうれん草のおひたし、穴子の付け焼き、トウモロコシの炊き込みごはん「ほまれ酒造」の山田錦と五百万石による大吟醸(冷や)無花果のコンポート

  

上澤卓哉

上澤梅太郎商店・上澤卓哉

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