「極道まんだら」 永六輔 文芸春秋 ¥500
この本は、永六輔が 「自分も極道になりたい」と、当時はまだ生きていた全国の道を極めた人たちから話を聴いてまわった、フィールドワークの産物です。奥付によれば、第二刷の日づけは昭和46年4月25日です。僕が高等学校1年生のときに購入したものでしょう。 この年齢からこういう本を読んでいると、人はロクなものにならないという見本です。
その247ペイジに出てくるのが藤波音吉サンです。 いわく
「馬賊じゃないよ、満州になんかいないもの、行ったのはシベリアよ。十五の時にやくざにくっついて、今でいう全国指名手配の男だな、その人が一人で逃げるより、子供づれの方が官憲の目を誤魔化せるでしょ、それで私は誘われるままにシベリアへ行っちゃったんだ、ウラジオストックね」
「しばらくいる内に革命が起こったな、ロシアの天皇陛下とアカの軍隊が戦って、勝ったり負けたりしてたけど、結局のとこ、アカが勝っちゃったよね。私もね、ロシアの陛下の味方してアカと戦ったことあるけどね、貧乏人はアカの味方だったし、その貧乏人が多かったからね」
で、この藤波音吉サンが敗戦後の有楽町に作った 「ミルクワンタン」という店に、僕はこの本を読んだ高等学校1年生のときから、もう行きたくて行きたくて。で、ついに今年の夏、有楽町の東京国際フォーラムへ「大英国展」 を見に行った翌夕に、27年来の夢(大げさだなぁ)を実現することができました。
しかし何だかこのコンテンツも、だんだんとグルメな方向からズレていきつつありますね。
ちなみにこのミルクワンタンは、JR有楽町駅から東京駅へ向かって右側のガード下を歩いていくと、鍛冶橋通りへ出る数十メートル手前の左側に見つかります。以下は、そのリポート。
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nobさん、お世話になります。
>> あ、昨日ミルクワンタンを発見しました。 (^^;
> そういうのはしっかりしなければいけません。 って、、 (^_^;)
ワッハッハ。 思わず笑ってしまいました。
発見したのが昨日の朝。 入店したのが本日の夜。 凄い店ですねぇ。
何が凄いって、楽しいんです。
別にオヤジやオバチャンが饒舌なわけでもなく、私自身も無言なのに楽しくて、ジャック ・ ヒギンズ著 「鷲は飛び立った」 早川書房が、ただの1ペイジも読めません。
STRAC?交流会の席上、丸徳さんに 「頼まなくてもバンバン出てくる店」
とはお聞きしていましたが、あれほどとは。筆記用具が無くては、とてもすべては記録しきれません。
とりあえず、私の記憶を辿ってみれば ・ ・ ・
狭い間口。 店にはいると右側に6人ほどのカウンター。 その中が調理場。奥に4人掛けのテイブルが一つに、2畳ほどの入れ込み。
メニュは天井から下がったセコい紙に
「ミルクワンタン」 「焼飯」 「煮込みライス」 「半分煮込み焼飯」
この4種類のみ。
カウンターに座って 「なに頼もうかなぁ、困ったなぁ」 と思いながらとりあえず 「冷酒をお願いします」
と言いました。例のペコペコの安っぽいアルミの急須がありますね、冷酒は、あれで供されます。 推定容量1.5合。
いやぁ、丸徳さんのおっしゃる通り、酒の肴が出るわ出るわ。
いきなり、といった感じで 「スープ」 (小さな中華ドンブリに入ったニンニク風味コンソメ)
「白菜の漬物」
「茹でたサザエの肝臓とワカメ」
「鯵のひらき」
「氷頭なます」
おばちゃんが 「これ、オニーサン好きそうだから」 と言いながら出してくれました。
鯵のひらきの頭まで食べてしまったあたりを、観察されたのでしょうか。
この 「氷頭なます」 が美味くて、おばちゃんを褒めると
「アラスカの熊は、鮭の頭と内臓しか食べないそうね。 私なんか ミノモンタ が体にいいって言えば、なんでも食べちゃうけど」
「鰻のヒレぐるぐる巻き串焼き」(鰻の小さなヒレを、何十枚も集めて1串にまとめる根性が凄い)
「モツ煮」 (モツは鶏モツ。 スープはコンソメ)
「チャーハン」 (スープと同じく小さな中華ドンブリ)
「胡瓜、茄子の漬物、梅干し」
「トコロテン」(トコロテンなんて、30年以上ぶりに食べてしまいました)
「トロロイモのおろしたやつ」
「タコブツ」
ここでさすがに降参して、すかさず 「すいません、ミルクワンタンの小さいの下さい」
おばちゃん 「小さいので足りるの?」
私 「はい、大丈夫です」
おばちゃん 「怪しいなぁ。 足りなかったら、お代わりしてね」
ミルクワンタンは、暖かい牛乳にコンソメスープのモツ煮を入れて、そこに湯がいたワンタンを投入します。しみじみとした滋味とコクがあって美味いですねぇ、これが。
私のような飲み食いの速い人間で、滞在時間は45分。勘定は3000円ぴったり。
いま、腹一杯で身動きがとれず、外へ行く気力がありません。で、返信を書いてます。 (^^;
1998.0723(Thu) 21:07 清閑 uwasawa.takuya@nifty.ne.jp
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