2021年3月の日記31本
2021.3.31(水) そう思い込んでいるだけ
早朝、寝室から洗面所を経由して食堂に入るなり、暖房の電源を入れた日々は去った。冬用の靴下は、2週間ほど前に押入の衣装箱に仕舞った。5時30分には日が昇る。ダウンベストは、そろそろクリーニングに出しても良さそうだ。
「今年の桜は早い」と、会う人、会う人、みなが言う。春を待ち望む気持ちが先走って、そう思い込んでいるだけなのではないか。靖国神社の標準木は、昨年とおなじ3月14日に開花をしたと、朝のニュースでは聞いた気がする。
隠居の桜を応接間の窓から撮る。その画像を昨年3月31日のそれと見くらべてみる。染井吉野は、昨年のそれより明らかに早い。山桜は逆に遅れている。そのふたつの事実を併せて考えてみる。「汁飯香の店 隠居うわさわ」の縁側に雪崩れるようにして咲く八重の枝垂れ桜は、今年も4月の第1週末が「走り」、第2週末に満開になる、と思う。
その枝垂れ桜が散れば、以降は新緑へ向かって一直線。「白木のカウンターで鰹が食べてぇな」と思う。
朝飯 しもつかり、白菜漬け、赤飯、豆腐と菠薐草の味噌汁
昼飯 牛蒡と人参のきんぴら、塩鮭、塩鰹のふりかけ、白菜漬け、ごぼうのたまり漬のお茶漬け
晩飯 チーズ、TIO PEPE、パン其の一、パン其の二、鶏とブロッコリーのソテートマトソース、「マルサン葡萄酒」の「土と種の味がするぶどう酒」、プリン、Old Parr(生)
2021.3.30(火) 桜と緑
「汁飯香の店 隠居うわさわ」は、これを開くことを決めたときから宇都宮の料理屋「了寛」のあるじタマキノリヒロさんの指導を受けてきた。開店準備のときには連続して何度も、そして以降も折あるごとに来ていただき、本職の考えや技術を教えていただいている。
そのタマキさんが料理長のイチムラさんと共に、今日は朝から隠居の厨房に入ってくれた。花見弁当の形を決めることが、今日の目的である。
家内や長男に2時間おくれて11時に隠居へ行く。染井吉野は見ごろ、山桜は涼やかにほころび始め、枝垂れはつぼみの紅色が濃くなってきた。藤の芽が膨らんでいる。黄色い水仙は、その柔らかな花弁にもかかわらず、開花から10日を経ていまだ元気だ。それらを見まわりつつ玄関の戸を引く。
厨房ではタマキさんが桜を思わせる弁当を、一方のイチムラさんは新緑を思わせる弁当を、それぞれ競うようにして作っていた。その様子は調理というよりも、音を選び、曲を組み上げていく行いのように、僕には思われた。
試食では、僕は「桜」を食べた。長男は「桜」と「緑」の両方を平らげた。この「桜」と「緑」は二段重ねでひと組になるのだという。販売の開始はいつになるだろう。
朝飯 菠薐草と榎茸のおひたし、焼き鮭、温泉玉子、牛蒡と人参のきんぴら、白菜漬け、ごぼうのたまり漬、メシ、大根とブロッコリーの味噌汁
昼飯 「花見弁当」の桜の方
晩飯 「花見弁当」の緑の方、刺身湯波の「朝露」がけ、「清開酒造」の「夢ささら55%無濾過生原酒」(冷や)
2021.3.29(月) 助かるのは
先週から数えれば、耳鼻科のセキネクリニックへ行くのは今日が6日目。できた場所が喉の奥とはいえ、口内炎にこれほど難渋するとは思わなかった。おまけに舌も、見た目は普段と変わらないものの、荒れているような不快感がある。
「いま食べているものは、平時であれば美味いはず」と鼻と舌の一部が認識をしながら、実際には、口にするすべてが美味くない。汁と酒、塩味と酸味は著しく喉にしみる。目の前に好物があっても、それほど嬉しくはない。何とも困った不具合である。
それはさておき今日は、きのうの雨から一転して晴れた。真っ先に、国道121号線に沿って建つ看板の、照明の電源を切る。スタッドレスタイヤについてはどうしよう。昨年は今日とおなじ3月29日に少なくない雪が降った。それが頭にあるからノーマルタイヤへの交換を躊躇うのだ。
喉の具合が悪くて助かるのは酒の量が減るくらいのところだろうか。何を肴に、ということもないけれど、夜はウイスキーのお湯割りを、湯飲みに1杯だけ飲む。
朝飯 牛蒡と人参のきんぴら、「なめこのたまり炊」のフワトロ玉子、茹でたブロッコリー、菠薐草と榎茸のおひたし、白菜漬け、らっきょうのたまり漬「小つぶちゃん」、メシ、トマトと玉葱の味噌汁
昼飯 塩鰹のふりかけ、塩鮭、白菜漬け、ごぼうのたまり漬のお茶漬け
晩飯 生のトマト、レタスと人参のサラダ、ナン、カレーライス、たまり漬「七種きざみあわせ・だんらん」、Old Parr(お湯割り)
2021.3.28(日) 梅と桜
「しもきたはっこうマルシェ」が本日、開催される。それに参加をする家内と長男は、5時40分にトヨタハイエースに乗って店を出た。ウチが出品をするのは、上澤梅太郎商店の味噌やたまりや漬物、また先週からきのうにかけて作った栃木県の郷土食だ。彼らを見送るやいなや蔵に入り、いつもよりすこし遅れて朝の仕事に従う。
調理担当の家内が東京へ行ってしまったため、土、日、月が営業日の「汁飯香の店 隠居うわさわ」は不本意ながら、今日はお休みとなる。
門扉を綴じた隠居で草を刈ろうとしていたタカハシリツコさんは、その仕事の前に着信記録に気づいた。そしてその覚え書きを事務係のツブクユキさんにを手渡した。それを受け取った僕は、その紙にある番号に、折り返し電話をした。着信は、これから隠居へいらっしゃろうとしていたお客様からのものだった。お客様には丁重にお詫びをして、ご理解をいただく。
これからも着信があるたび僕に報せるよう、タカハシさんに伝えるため隠居へ行く。庭には紅白の梅と山桜が同時に咲いていた。「東風吹かば」と「敷島の」が手をつないで歩いている。梅が来週の末まで保てば幸いと思う。
朝飯 しもつかり、白菜漬け、赤飯、豆腐と菠薐草の味噌汁
昼飯 「大貫屋」のチャーハン
晩飯 「金谷ホテルベーカリー」の2種のパン、TIO PEPE
2021.3.27(土) 注文したはずの本
amazonは、登録さえすればパスワードなど入れなくても買い物ができる。しかし昨年の秋ごろのことだったか、それに不具合が生じたことはこの日記にも書いた。仕方なく別のメールアドレスで登録をし直した。その際に、自分の名を「上澤卓哉上澤卓哉」としてしまったことには、うすうす気づいていた。それを今日はようよう修正した。ついでに注文履歴を開く。
amazonで履歴を見るたび「そういえばこんな本も頼んでいたな、しかし届いたのだろうか」という疑問を感じる。今日もそうだ。居ても立っても居られず4階へ行く。そして目を皿のようにして棚の本を見ていく。ややあってその本は、届いたばかりの本の置き場所ではなく、陶器についてのそれを並べた一角に見つかった。ひと安心、である。
寒いときには北へ行きたくなる。そして実際に、JR今市駅から盛岡や浅虫温泉までの乗り換えを調べた。しかしいまや隠居の桜も花を開こうとしている。そして結局のところ、小旅行の行き先は青森から静岡に変更をされた。道中や行った先での一番の楽しみは本読みである。いまだ読んでいない本が山積みにもかかわらず、また2冊ほど注文しようと考えている。
朝飯 鶏卵雑炊、白菜漬け、塩鮭、なめこのたまり炊
昼飯 ラーメン
晩飯 菠薐草のおひたし、生のトマト、らっきょうのたまり漬、白菜漬け、けんちん汁、鯖の味噌煮、「清開酒造」の「夢ささら55%無濾過生原酒」(冷や)、いちご
2021.3.26(金) あわせて4勺
出張や旅行で不在にしていない限り、8時の朝礼を終えると道の駅「日光街道ニコニコ本陣」へ向かう。売り場の掃除と検品のためだ。予備として裏手の冷蔵庫に保管中のらっきょうのたまり漬「ピリ太郎」が、今朝はすべて売場に出されていた。その売場の残りも僅少である。
本日分の「ピリ太郎」は、包装できしだい製造現場の冷蔵庫に保管することとしていた。それを変更して、できるだけ蔵出しを急ぐよう、帰社して包装主任のヤマダカオリさんに言う。
道の駅の「ピリ太郎」には、大人買いがあったのかも知れない。あるいはおひとりがお買い上げになったところで「だったら自分も」という連鎖が発生したのかも知れない。新型コロナウイルスの新規感染者は、減らないばかりが漸増の傾向にある。しかし首都圏に発令されていた緊急事態宣言は解除をされた。明日の製造量は、充分以上の数を目指す必要があるだろう。
午前も遅くなるころ、耳鼻科のセキネクリニックへおもむく。喉の奥左下にできた3つの口内炎はそのままに、また別のところにひとつが増えた。先生は、これまでの薬に加えて漢方薬を処方してくれた。
今日はまた日本酒に特化した飲み会「本酒会」の例会日だ。理由の如何に関わらず、当日に欠席を決めた場合には、会費の6,000円は免除されないことが規約に書かれている。そういう次第にて、喉を直撃する刺激に耐えつつ4種の日本酒を飲む。飲んだとはいえその量は、合計で4勺ほどに過ぎない。そうしていつもより30分ほど早めに帰って早めに就寝をする。
朝飯 白粥、塩鰹のふりかけ、なめこのたまり炊、しもつかり、塩鮭
昼飯 ラーメン
晩飯 「やぶ定」の酒肴あれこれ、盛り蕎麦、4種の日本酒(冷や)
2021.3.25(木) 初宮参り
初孫は2016年11月7日に産まれた。そしてそのお宮参りは同年の12月12日にされた。2人目の孫は2020年11月29日に産まれた。こちらのお宮参りは隨分と遅れて今日になった。社会の情勢が多分に影響していたと思う。
本日、お祝いをしてもらうシン、姉のリコ、長男、嫁のモモ君、その両親、僕と家内の8名にて10時前に瀧尾神社へ行く。そして昇殿をし、タナカノリフミ宮司に祝詞を奏上して戴く。
本日のシンの祝い着は、家内によれば「木更津市本町坂本呉服店」と名入りのたとう紙に包まれていたという。とすればそれはオフクロの実家から贈られ、64年前に僕が着せられたものに違いない。
次いで移動をした写真館では、シンの機嫌は良く、リコも大人の指示に素直に従ってくれたから、大いに助かった。
モモ君によれば、シンはよく寝て楽な子供らしい。「これからますます可愛がります」と、直会の席でリコはシンに手紙を書いた。すべての子供が楽に楽しく暮らせる世であって欲しいと思う。
朝飯 白粥、塩鮭、白菜漬け、塩鰹のふりかけ、ごぼうのたまり漬
昼飯 「みとや」の蟹汁、鮨盛り合わせ、他あれこれ
晩飯 コーンスープ、浅蜊と菜花のスパゲティ
2021.3.24(水) 複数発生大量摂取
日曜日の寝る前になって、喉に痛みのあることに気づいた。「風呂上がりに裸でうたた寝をして風邪をひいたか」と、ほとんど毎晩のように繰り返してしまう悪習を悔いた。
明けて月曜日の朝、耳鼻科のセキネクリニックで診察を受けた。「それだけ喉が痛いにもかかわらず熱がないとは不思議」とつぶやきながら、喉の奥に3つもできている口内炎を先生は発見した。
感染症でなかったことは幸いとしても、今早朝に目覚めたときには、その痛みは耐えがたいほどになっていた。そして、まるで風邪で高熱を発しているときのように、2時間も逡巡した挙げ句にようやく起床した。イソジンでうがいをしても、口の中の違和感は消えない。
十代のころから口内炎に悩まされ続けている僕が辿り着いた対処法は、ビタミンB2とB6の大量摂取だ。通常、この種のビタミン剤を飲み過ぎれば尿は濃い黄色になる。しかし口内炎の症状が重いときには、指定の3倍、4倍と飲んでも尿は黄色くならない。からだの中のどこかが、ビタミンB群を大量に費消しているのだろうか。
とにかく喉が痛くてメシを食う気もしない。今夜のお膳は赤ワインに合いそうな好物だったが、どうしようもない。入浴をして20時前に寝室に入る。
朝飯 牛蒡と人参のきんぴら、納豆、菠薐草の胡麻和え、こんにゃくの甘辛煮、白菜漬け、ごぼうのたまり漬、らっきょうのたまり漬「小つぶちゃん」、メシ、豆腐とカキ菜の味噌汁
昼飯 ラーメン
晩飯 プリン、牛乳
2021.3.23(火) 初午
19日の夜から煮始めたしもつかりがようやく完成した。所要時間のほとんどは、塩鮭の頭を煮崩すことに費やされた。この行程に圧力鍋を用いれば、すべては1日で完了するだろう。圧力鍋を用いても小さくならない骨があれば、包丁で細かくしても構わないと思う。
ところで「しもつかり」と人目につくところに書くと「しもつかれじゃないんですか」と訊かれることがある。「しもつかり」は「しもつかれ」と表記をされることが圧倒的に多い。しかしウチではむかしから「しもつかり」と言い習わしてきた。
“of course”の発音は「オフコース」なのか「オブコース」なのか、という論争が学生のころクラスであった。権威のある辞書の名を挙げ「その発音記号によれば…」と口を開いた優等生がいた。僕の意見は「どうでもいいじゃねぇか」だった。
北関東から東北にかけては「い」と「え」の音を混同するどころか、両者を逆転させる例が少なくない。「江戸時代」を「イドジダイ」と言った人が、おなじ口から「胃腸」は「エチョー」と発音するのだからややこしい。
その北関東の郷土食であれば「しもつかり」なのか「しもつかれ」なのかについても「どうでもいいじゃねぇか」と僕は考えている。
朝飯 玄米の焼きおむすび、らっきょうのたまり漬「小つぶちゃん」、ごぼうのたまり漬、白菜とベーコンの味噌汁
昼飯 ラーメン
晩飯 刺身湯波、新玉葱の梅肉和え、春野菜の炊き合わせ、牛蒡と人参のきんぴら、しもつかり、豚肉と菜花の炒め、らっきょうのたまり漬「小つぶちゃん」、ごぼうのたまり漬、赤飯
2021.3.22(月) 地震のあとさき
おとといの18時過ぎ、店のキャッシュレジスターを締め、売り上げ金を事務室へ持ち運んで封筒に収めたところで地震が来た。事務室のある店舗棟は、いわゆる「3.11」の前までは、大きめの地震にも揺れを感じることはなかった。しかし「3.11」以降は結構、揺れるようになった。それについては、これを建てた清水建設の人に診てもらったことがある。結果は異常なしとのことだった。とすれば何が変わったのだろう。
とにかくその地震を感じつつ「4階の仏壇では水とお茶がこぼれているに違いない」と考えた。水とお茶は案の定、湯飲みから小さなお盆にこぼれていた。しかし他にはこれといって異変は見あたらなかった。
今朝、応接間から廊下に出てふと階段室に目を遣ると、踊り場に置いた本棚の一部が倒れていた。この棚は予備のため、本は数えるほどしか入れていなかった。片づけには5分もかからないだろう。
午後、「汁飯香の店 隠居うわさわ」のお客様がすべてお帰りになった頃合いを見計らって隠居へ行く。建物を見まわると、雨受けの縁石の一部にあった「ズレ」が大きくなっていた。また縁石の1本に亀裂が見つかった。この亀裂が今回の地震によるものか、それとも以前からあったものかについては分からない。建物の本体には、特に異常は見あたらなかった。礎石の上に柱を立てる式の伝統家屋は、地震にはそうそう弱くないらしい。
朝飯 塩鮭、めかぶの酢の物、菜花の天麩羅、白菜漬け、沢庵、ごぼうのたまり漬、メシ、豆腐と蕗のとうの味噌汁
昼飯 ラーメン
晩飯 レタスと柑橘のサラダ、トマトとモッツァレラチーズのサラダ、カレーライス、らっきょうの甘酢漬け
2021.3.21(日) それも天気次第
4時すぎに台所へ来て、おとといより煮始めた、塩鮭の頭ふたつを入れた鍋に火を入れる。しもつかりのための鮭の頭は、むかしは竈や囲炉裏の熾火にひと晩中かけておくとか、火が消えたらまた煮直すとかして、気長に煮くずしたものと思われる。しかし今の世の中に「熾火」はなかなか存在しない。延べ十数時間も煮るには光熱費が嵩む。来年は圧力鍋を使ったらいかがかと思う。
今日はお彼岸の連休の2日目。朝礼を終えた8時から9時すぎまでのあいだに、会社と道の駅「日光街道ニコニコ本陣」のあいだを何度も往復する。「なぜ一度で済ませられないか」といえば、次々と完成する商品を、これまた次々と売場へ運ぶからだ。「なぜすべてが完成してから一気に運ばないか」と問われれば、主要な商品だけでも開店の9時に間に合わせたいからだ。
列島の広い範囲に大雨が降ると、天気予報は伝えていた。しかしこと日光の上空から落ちてくるそれは、それほどの量でもない。夕刻に外へ出てみると、国道121号線に沿って立つ看板には明かりが点っていた。「看板の照明は3月20日に電源を落とすべし」と、僕の日程管理にはある。「それも天気次第か」と、考えを改める。
朝飯 玉子焼き、めかぶの酢の物、干し海老を薬味にした冷や奴、鶏の燻製、生のトマト、白菜漬け、ごぼうのたまり漬、メシ、トマトと大根の味噌汁
昼飯 塩鰹のふりかけ、塩鮭、白菜漬け、沢庵、ごぼうのたまり漬のお茶漬け
晩飯 チーズ、TIO PEPE、プチトマトとレタスと玉葱と牛たたきのサラダ、スパゲティミートソース、Chateau Lalande Borie 1985
2021.3.20(土) いかにもそれは
お彼岸、特に春のそれは、元日以来の諸々が急に変わる節目として認識をしている。簡単に言えば、すべてが活発になるのだ。きのうの夕刻には、売り切れに注意をするよう、製造計画は強気で立てるよう包装係に言った。そして今日の朝礼でも、おなじことを伝えた。
本日「汁飯香の店 隠居うわさわ」に弁当21人前を予約してくださっていたお客様は、上澤梅太郎商店にいらっしゃるまでの高速道路が混み合っていたことを教えてくださった。啓蟄は3月5日でも、人はやはり、お彼岸を境として動き出すらしい。
昼食を終え、洗面所の窓からふと外を眺め降ろすと、誰かがホンダフィットの荷室扉を上に跳ね上げていた。売場に商品を追加するよう、道の駅「日光街道ニコニコ本陣」から連絡が入ったのだろう。有り難いことだ。
「これはもうひとつだけですか」と夕刻、冷蔵ショーケースのらっきょうのたまり漬「ピリ太郎」を指してお客様がお訊きになる。いかにもそれは本日最後のピリ太郎だった。出来たてにこだわるとはいえ、明日はもう少し、製造量を増やす必要があると思う。
朝飯 「丸赤」の「極辛塩鮭」、白菜漬け、ごぼうのたまり漬、メシ、玉葱とレタスと白菜キムチと豚肉の味噌汁
昼飯 なめこのたまり炊、白菜漬け、塩鰹のふりかけ、明太子のお茶漬け
晩飯 大根と万能葱の味噌汁、ポテトサラダ、刻みキャベツと生のトマト、鶏の唐揚げ、Old Parr(ソーダ割り)
2021.3.19(金) UNTITLED 2008 Ⅲ
今月8日、銀座と京橋のあいだにある画廊へ行った。柏木弘の最新作はネパールで漉かれた紙によるもので、すべては9枚で一組になっていた。専門筋と思われる人たちの会話から、それらは非常に学術的なものであることがうかがわれた。しかし僕の目的は他にあった。
ようやくひとりになった柏木に、僕はiPhoneに保存した画像を見せた。13年前の作品は、いまだ作者の手元にあるとのことだった。その”UNTITLED 2008 Ⅲ”が欲しい旨は、帰宅してから本人に伝えた。
作品は、壁に掛けやすいよう裏面が調えられた状態で、おととい届いた。添えられた説明文には、制作の過程が詳細に記してあった。
板に綿布を固く張り、幾重にも色の塗られたそれを、今日は隠居へ運んだ。そして床の間に掛けてみた。その玄妙な赤は、僕の感覚からすれば、冬の曇った日にこそ似合う気がする。置いてもせいぜい桜の咲くころまでだろうか。それまでは惜しみつつ、少しずつ楽しもうと考えている。
朝飯 明太子、納豆、温泉玉子、油揚げと小松菜の炊き合わせ、茹でたブロッコリーと生のトマト、ごぼうのたまり漬、メシ、大根の味噌汁
昼飯 ごぼうのたまり漬、塩鮭、明太子、白菜漬けのお茶漬け
晩飯 めかぶの酢の物、白菜漬け、椎茸と青菜と豚肉の鍋、麦焼酎「麦っちょ」(前割のお燗)
2021.3.18(木) 簡単、ズボラ、いい加減
昨年の5月29日より数日おきに、朝食の動画を「梅太郎」の名でTikTokへ上げている。
たとえば九谷焼の絵付師が仕事の動画をウェブ上に上げたとすれば、その筆が細密なほど閲覧数は上がるのではないか。しかし僕の朝食に限っては、その逆の傾向が強い。
「汁飯香の店 隠居うわさわ」の営業日は土、日、月で、家内は6時前後には隠居へ向かう。よってこの3日間に限っては、朝食は自分で用意をする。TikTokで閲覧数が伸びるのは、その土、日、月のお膳であることが多い。つまり僕の作る、簡単、ズボラ、いい加減な朝食である。
これまでいちばん閲覧数が多かったのは昨年8月1日土曜日のそれで、44万8千3百ビュー。それを先月28日日曜日の朝食が抜いてきた。現在の閲覧数は45万6千9百ビューである。
さてこの、2021年2月28日の記録を閲覧数で抜く朝食は、今後、出てくるだろうか。出てくるならどのような朝食か、ということについては想像がつく。これからも土、日、月に限っては、簡単、ズボラ、いい加減を目指していこう。別段、TikTokの閲覧数が欲しいわけではないけれど。
朝飯 紅白なます、納豆、油揚げと小松菜の炊き合わせ、グリーンアスパラガスとスナップエンドウの淡味炊き、明太子、ごぼうのたまり漬、白菜漬け、メシ、揚げ湯波と菠薐草の味噌汁
昼飯 「大貫屋」の塩ちゃんぽん
晩飯 チーズ、TIO PEPE、トマトとレタスのサラダ、2種のパン、帆立貝と海老とマッシュルームのグラタン、Chablis Billaud Simon 2015
2021.3.17(水) 水帳
きのう倉庫の整理をしながら、埃をかぶった木の箱に目がとまった。「寛文六丙午年瀬川村水帳入」の文字が蓋にある。瀬川村とは、日光市今市旧市街から日光街道を遡上して最初の集落にあたる。
「寛文六丙午」の文字を頭に刻んで一旦、倉庫から去る。そして事務室でそれを検索エンジンに入れてみる。西暦1666年、徳川幕府は4代家綱の治世、更には八百屋お七の生年と、googleは教えてくれた。
「へー」と思いながらふたたび倉庫へ戻り、その箱を4階の食堂へ運ぶ。そして太陽光のふんだんに差し込む食卓に置いて、蓋を開けてみる。中には糸で綴じられた文書が収められていた。その表紙には蓋より更に詳しく「下野國日光領瀬川村御検地水帳」の墨跡。
どうやらこれは、瀬川村にある各戸の耕作面積を記したものらしい。しかし悲しいかな僕は古文書を読む教養を持ち合わせない。農業史の先生がいつかこの日記に行き当たれば、そしてこの帳面を検分してくれれば、そのときには何ごとかが解明されるかも知れない。
朝飯 グリーンアスパラガスとスナップエンドウの淡味炊き、紅白なます、大根おろしを添えた鰤の照り焼き、菠薐草のおひたし、白菜漬け、ごぼうのたまり漬、メシ、揚げ湯波とブロッコリーの味噌汁
昼飯 白菜漬け、油揚げと小松菜の炊き合わせ、塩鰹のふりかけ、塩鮭、ごぼうのたまり漬のお茶漬け
晩飯 キャベツと人参のサラダ、カレーライス、らっきょうのたまり漬を含む三種の薬味、Old Parr(お湯割り)、プリン、Old Parr(生)
2021.3.16(火) 幾とせ耐えて
昔のエレベーターは、降下するとき胸や腰のあたりに何とも言えない違和感を覚えさせた。落下傘を背負って空中を落下するときにも、それとおなじ感じがするものと考えていた。しかしスカイダイビングを実際に経験してみると、そのようなことは一切なく、空を飛んでいる気持ち良さのみがあった。
昨初秋、大森のウィステリアデンタルクリニックで奥歯の神経を抜いた。サトーヒロノブ先生は、神経の奥底の、その先まで特殊な器具で穴を穿った。術後の回復を早めるための措置と、先生からは説明を受けた。二日がかりの完璧な仕事だった。
2018年10月より感じ始めた背中の違和感は、同年の師走に至ってとうとう我慢しきれない痛みに変わった。翌年1月より通い始めた宇都宮のカイロプラクティックでは、背中から始まって肩、膝と、次々に治療をしてもらった。時には「痛いですよ」と事前に知らされながらの施術もあった。「どれくらい痛いですか」と訊くと「骨が折れるときくらい痛いです」と、ワタナベマサヤス先生はこともなげに答えた。
何が言いたいか。
飛んでいる飛行機から飛び降りることも平気なら、歯の奥底まで針を差し込まれることも恐れず、専門家が「骨が折れるくらい」という痛みにも耐えられる。ただただ、血管注射だけが怖い。今日は会社の健康診断にて、そのうちの血液採取にようよう耐えて、通常の業務に復帰する。
昼飯 「笹の」のカレーライス
晩飯 ミネストローネ、2種のパン、茹でたブロッコリーとマッシュドポテトとキャロットラペを添えた豚のソーセージのソテー、おなじく羊のソーセージ、チーズ、Chateau Lalande-Borie 1985、シュークリーム、Old Parr(生)
2021.3.15(月) 危ない兆し
2013年の秋に、自宅を大きく改装した。それまで足の踏み場もないほど溢れていた様々なものを、たとえば箪笥なら中味ごといくつも捨てるような、大胆な整理をした。環境は大きく改善され、とても気持ちの良い住まいになった。建築雑誌やテレビの「お宅訪問」のような番組を見ると、どの家も驚くほど片付いていてモノが無い。「そんな家が果たして現実にあるものだろうか」と疑問に感じていたが、自分の家も、そんな風になってしまった。
そこまで徹底してモノを捨てると、物欲が無くなる。僕も最小限主義者の仲間入りである。しかしそれから何年かが経つと、やはり欲しいものは出てくる。
焼酎は、あらかじめ水と混ぜておく「前割」をすると美味いと、つい数日前に知った。焼酎4、水6の比率で割った焼酎は徳利に入れて燗を付ける。ところで今ある徳利は300ccの容量で、僕の酒量にはちと足りない。最低でも2合は欲しい。
そうしてこれをウェブ上に探すうち「なぜこの壺がこれほどの安値で売られているのか」というものを古美術屋のページに発見する。「隠居の床の間の花瓶よりよほど良いじゃねぇか」と、目が吸い寄せられる。危ない兆しである。
朝飯 こんにゃくの甘辛煮、菠薐草の胡麻和え、生玉子、牛肉のすき焼き風、白菜漬け、ごぼうのたまり漬、メシ、赤パプリカの味噌汁
昼飯 塩鰹のふりかけ、白菜漬け、ごぼうのたまり漬、塩鮭のお茶漬け
晩飯 菠薐草のおひたし、胡瓜と榎茸の酢の物、南瓜の煮付け、刺身湯波の「日光味噌のたまり浅漬けの素・朝露」かけ、大根と豆腐の味噌汁、大根おろしを添えた鰤の照り焼き、麦焼酎「麦っちょ」(前割のお燗)、苺、シュークリーム、Old Parr(生)
2021.3.14(日) 白梅
上澤梅太郎商店が運営する朝ごはん専門店「汁飯香の店 隠居うわさわ」の営業は、土、日、月の週に3日。金曜日にはその宣伝をfacebookページに上げる。添付する画像がいつも同じでは見る人も面白くないだろう。そう考えて、毎週、新しい画像を得るため隠居へ行く。
日光市今市の、旧市街の標高は400メートル。春の花は、東京にひと月おくれて咲く。きのうは靖国神社の染井吉野が平年より12日も早く開花をしたという。隠居の庭では白梅が、ようやく開き始めた。それにしても、座敷から間近に望めるその枝振りが、大いに悪くない。姿の良さは、生まれながらのものだろうか、あるいは植木屋の仕事によるものだろうか。
きのう列島は大雨に襲われた。その雨が奥日光の上空では雪に変わったらしく、山々はすっかり冬景色に逆戻りをしてしまった。気象予報士は、雨から一転して晴れる今日の花粉の多さを伝えていた。しかし僕の眼球は、それをまったく感じていない。ありがたいと言えばありがたい。
白梅は、お彼岸のころには満開になるだろうか。
朝飯 なめこのたまり炊、ごぼうのたまり漬、塩鮭、塩鰹のふりかけ、白菜漬け、白粥
昼飯 「ふじや」の雷ラーメン
晩飯 鰯の油漬け、白菜と豚肉と春雨の鍋、麦焼酎「麦っちょ」(前割のお燗)
2021.3.13(土) シャチョー
「食品工場が抱える問題のひとつに、床や水路の経年劣化がある。ウチもその例に漏れず、補修を繰り返してきた」と、先月26日の日記に書いた。今日はその先月に続いて2度目の工事が行われる。
朝、7時40分に事務室のシャッターを上げる。「業者の方が見えています」と、真っ先に入ってきたハセガワタツヤ君が言う。その後ろに水色の作業着を着た「シャチョー」が立っていた。その「シャチョー」はまた、僕のことも「シャチョー」と呼ぶ。
子供のころ、僕のオヤジも含めて街の商店主たちが「シャチョー」と互いを呼び交わすことに違和感を覚えていた。そのころ僕の頭に浮かぶ「社長」とは、ダブルブレストの背広を着て葉巻を咥えた恰幅の良い男でなければならなかった。それが大人になってみれば、作業着とユニクロのフリースを着た同士が「シャチョー」である。
その範囲の広さから「果たして今日中に終われるだろうか」と心配された工事は、17時に数十分を残して完了した。機械類や作業台の養生は充分だ。それでもあす出社する製造係は先ず、掃除から仕事を始めることになるだろう。
朝飯 らっきょう、ごぼう、しその実の各たまり漬、メシ、豆腐となめこと揚げ玉と白菜キムチの味噌汁
昼飯 塩鰹のふりかけ、沢庵、白菜漬け、塩鮭、ごぼうのたまり漬のお茶漬け
晩飯 こんにゃくの甘辛煮、白菜漬け、揚げ湯波と小松菜の炊き合わせ、生のトマト、鶏とマッシュルームのクリーム煮、鶏の燻製、TIO PEPE、杏仁豆腐、Old Parr(生)
2021.3.12(金) 自動引き落とし
あるとき、会社の口座から自動引き落としされる諸々を精査した。電気料金のひとつに目がとまった。東京電力に電話をして係に来てもらった。そして当該の街灯がどこにあるか調べてもらった。街灯は、どこにも無かった。「以降の請求は止めさせていただきます。ただしこれまでお支払になった分はお返しできません」と、係の人は言った。
午前、今回はじめて届いたという電気料金の振込用紙を持って、ウカジシンイチ春日町1丁目自治会長が会計係の僕を訪ねてきた。用紙には「公衆街路灯A」の「ご使用場所」として「日光市今市9999番(地)」と記してある。googleマップに入れるまでもなく、それは存在しない住所だ。
振込用紙の、0120で始まる「お問い合わせカスタマーセンター」に電話をしてみる。長々とした音声案内が続くばかりで、らちが明かない。検索エンジンに頼って栃木県内のある電話番号を見つける。そこへ電話をするとようやく、人間が出てきた。
その人とのやり取りについては、ウカジ自治会長にLINEで送った。すべて得心がいったら、そのときにはこの新しく発生した支払いを、現在の自動引き落としに統合しようと思う。
朝飯 納豆、大根と薩摩揚げの炊き合わせ、揚げ湯波と小松菜の淡味炊き、牛蒡と蓮根と人参の炊き合わせ、じゃこ、ごぼうのたまり漬、沢庵、白菜漬け、メシ、揚げ湯波と蕪と三つ葉の味噌汁
昼飯 揚げ玉、白菜漬け、沢庵、塩鮭、ごぼうのたまり漬のお茶漬け
晩飯 マカロニサラダ、TIO PEPE、2種のパン、鶏とマッシュルームのクリーム煮、Petit Chablis Billaud Simon 2016、苺
2021.3.11(木) どちらが痛いか
血圧や血液について、ふた月に1度ほどの頻度で医師の診察を受けている。今朝、その待ち時間中に「あなたはいつワクチン接種を受けられる?」と、iPhoneに文字が浮かんだ。怪しげなサイトではないことを確認する。そして生まれた年や月、住んでいる場所を入れていく。AIが予想をするのだというその時期は、ややあって「約2ヶ月以内」と出た。2ヶ月以内といえば、黄金週間のまっただ中。「そりゃぁ、いくら何でも無理だろう」と、勝手に判断をする。
ところで河野太郎新型コロナウイルスワクチン接種担当大臣は当初、ワクチンを受けたことを証明する書類は発行しないとしていた。「まるで江戸時代だ」と、僕は一驚を喫した。それが本日午後のニュースによれば「証明書の必要性が国際的に高まってきた場合には、新たな仕組みによる発行を検討する」と一歩、前へ進んだらしい。
それにしても、新型コロナウイルスのワクチン接種を望む人が、日本では半数に達しないという。更には、接種を望まない人が全体の4分の1もいるという。「コロナの注射は痛い」などと、その「副反応」が話題になっている。
僕は過去にコレラの予防注射を4回、受けている。受けてから数日のあいだ、二の腕に痛みが残った。コレラとコロナのどちらが痛いか、今は楽しみにしているところだ。
朝飯 大根と薩摩揚げの炊き合わせ、独活と菊芋の淡味炊き、納豆、トマトとブロッコリーのソテーを添えた目玉焼き、ごぼうのたまり漬、メシ、なめこの味噌汁
昼飯 「スシロー」のあれや、これや、それや
晩飯 コーンポタージュ、グリーンアスパラガスとベーコンのソテー、コロッケ、刻みキャベツと生のトマトを添えた牡蠣フライ、Petit Chablis Billaud Simon 2016、プリン、Old Parr(生)
2021.3.10(水) あと10日
きのうの食卓に上がった鯛は大きく、半身をこなすのがようやくだった。食後、その尻尾を竹箸で折り取り、塩を洗い流して鍋の水に沈ませた。今朝はそのだしを味噌汁にした。美味くないわけがない。
毎朝の味噌汁のだしは、鰯の煮干しで引いている。鯛の煮干しも、実は存在する。あるいはいろいろな煮干しを用意して、気分や具によって使い分ける手もある。しかしまぁ、当面は今のままでいこう。
ところで毎年、冬の、閉ざされた、あるいは雌伏ともいうべき雰囲気が、いきなり春の華やかさに変わるときがある。それは僕の場合、立春でも啓蟄でもなく、やはり春分だろうな、と思う。その春分が間近になったこの頃は、なぜか取材の依頼が増えてきた。
取材には大抵、長男がお応えをしている。しかし今週土曜日のそれについては僕が対応をするよう、今日は事務机の上に覚え書きが置かれていた。ダウンベストは、いつ脱ごうか。雪はもう降るまいと決めつけているところが僕には、ある。昨年のことを考えれば、いまだ油断はできない。
朝飯 納豆、独活と菊芋の淡味炊き、蓮根と人参のきんぴら、大根と薩摩揚げの炊き合わせ、菠薐草のおひたし、おでんの名残の玉子とこんにゃく、白菜漬け、ごぼうのたまり漬、メシ、豆腐と菠薐草の味噌汁
昼飯 沢庵、牛肉の甘辛煮、ごぼうのたまり漬、塩鮭のお茶漬け
晩飯 マカロニサラダ、白菜漬け、牡蠣とマッシュルームのアヒージョ、鯛のだしによる湯豆腐、鯛飯、麦焼酎「麦っちょ」(前割のお燗)、カステラ、Old Parr(生)
2021.3.9(火) 塩鮭を焼く
「天網恢々疎にして洩らさず」から「のろまの三寸、馬鹿の開けっ放し」まで、オフクロの口から覚えた故事ことわざは少なくない。「餅は乞食に焼かせろ、魚は殿様に焼かせろ」も、そのひとつだ。
きのう買った塩鮭を、昼食のために焼く。魚を焼くときにはいつも先の「魚は殿様に焼かせろ」を思い出す。ガス台に設けられた魚焼き器の火は、もっとも弱いところに設定をする。そして切り身の四面それぞれを、ゆっくりと炙る。「炙るは英語では、使う道具が網ならグリル、天火ならローストだろうか。タイ語ではヤーンだわな」などと考えながら、塩を吹きつつある鮭をガラス越しに観察する。
「丸赤」の塩鮭は、ひと切れが税込で864円。スーパーマーケットなどで、その半値とか4分の1の値段で売られているものよりも、断然、安い。なぜ安いかといえば、塩が強いため、1度に指の先ほどしか食べられず、加えて量も多いため、ひと月ほどは楽しめるからだ。
今日はまた、昨年の11月29日に産まれた孫のシンの、お食い初めだった。僕はおでんで酒を飲みながら、赤飯と鯛には形ばかり手をつけた。
食後、本を読んでくれと、孫のリコが家内にせがむ。その、4歳のリコのとなりに座らせられたシンもまた、家内の開いた絵本を、わけの分からないまま眺めている。床に落とすなどの粗相が怖いから、シンのことは、いまだ1度しか抱いていない。とにかく、世界中の子供や赤ん坊はみな「元気で長生きすべし」と思う。
朝飯 じゃがいもとピーマンのサラダ、人参と蓮根のきんぴら、納豆、紅白なます、胡瓜とこんにゃくの中華風、白菜漬け、ごぼうのたまり漬、メシ、レタスの味噌汁
昼飯 揚げ玉、白菜漬け、塩鮭、ごぼうのたまり漬のお茶漬け
晩飯 菠薐草の胡麻和え、白菜漬け、紅白なます、「芦屋たのしや」の塩おでん、鯛の塩焼き、赤飯、「清開酒造」の「夢ささら55%無濾過生原酒」(冷や)、パウンドケーキ、Old Parr(生)
2021.3.8(月) あちらこちら
「東京は真冬の気温に逆戻り。お出かけも真冬の服装で」と、テレビの気象予報士が呼びかけている。僕に限ったことかも知れないけれど、それを真に受けると、しばしば後悔する羽目になる。汗をかいてしまうのだ。
下今市09:33発の上り特急スペーシアが浅草に着いたとき、64席を持つ5号車の乗客は6名。人の行き来はいつ戻るだろう。
2008年に買った財布の一部が壊れ、昨年12月に修理に出した。それが上がってきたとの連絡は2月なかばに受けていた。しかし特段の用事がなければ、特に緊急事態宣言下の東京へは出て行きづらい。今日はついでがあって、その財布を「土屋鞄製造所」の日本橋店で受け取る。道具は直しながら長く使うことを好む。この財布は失くしでもしない限り、死ぬまで保つだろう。
手元の紙には「三越前-明治神宮前-四谷三丁目-新橋-京橋」と、今日の予定が記してある。そのうち四谷三丁目だけを都合により飛ばす。
夕刻がちかくなるころ、新橋より銀座に至る。むかしで言えば新橋のたもとから尾張町の交差点までのあいだに、人の姿は数えるほどしか見えない。4丁目の喫茶店で時間調整をする。110ページを読み残した本に加えて予備を持参したのは正解だった。1冊目を読み終え、2冊目は24ページまでこなしたところで席を立つ。
1丁目の画廊で柏木弘展を観る。京橋から地下鉄で上野広小路に至る。天神下のシンスケで次男とカウンター活動を共にする。そして北千住20:03発の下り特急に乗り、22時前に帰宅を果たす。
朝飯 なめこのたまり炊、温泉玉子、生のトマト、白菜漬け、ごぼうのたまり漬、メシ、ピーマンの味噌汁
昼飯 「カフェテラスポンヌフ」のハンバーグサンド、コーヒー、プリン
晩飯 「シンスケ」の蛍烏賊の山椒オイル漬け、鮪と葱のぬた、鮭の焼き漬け、ほかあれこれ、タルヒヤ
2021.3.7(日) 博覧強記
1990年代の後半、ディレクトリ型検索エンジンの「Yahoo!カテゴリ」に上澤梅太郎商店のウェブページを登録すべく、当時の外注SEマエザワマコトさんと申請作業を繰り返した。いくら繰り返しても、そのたび撥ねられた。怪しげなサイトが我がもの顔で登録されているにもかかわらず、だ。「Yahoo!カテゴリ」の登録スタッフ「サーファー」が、撥ねた理由を教えてくれることはない。そして僕とマエザワさんは遂に、申請を諦めた。
2000年代のはじめ、インターネット専業銀行に口座を開くよう、お客様から要請があった。必要な手続きは、すべてウェブ上で行わなくてはならない。当該のサイトに電話番号はなく、だから途中で分かりづらいことがあっても、口頭で問い合わせることはできない。自社の口座がようよう開設されたときには、大仕事をひとつ終えた気分だった。
かつては電話による問い合わせ窓口を持っていた法人が、今はサイトのどこにも電話番号を載せていない、という例がこのところ目立つ。「出物腫れ物所嫌わず」という性質が電話にはある。それゆえの、窓口の廃止だろう。
facebookは仕様を頻繁に変える。きのうまでできたことが今日はできない、ということがたびたびある。もちろん、解決法を電話で問い合わせることはできない。SNSに関しての博覧強記がどこかにいないか。いれば訪ねて種々の疑問を払拭したい。
今朝、目覚めてiPhoneを取り上げると、未知の人からfacebookに友達申請が届いていた。「本当の顔写真が設定されていなければ『友達』にはならない」と、僕は自己紹介に載せている。僕に申請を寄こす人には、それが見えているのか、どうなのか。友達になってくれとミッキーマウスに言われても、当惑するばかりである。
朝飯 何日か前の夜のグラタン、めかぶの酢の物、干し海老を薬味にした冷や奴、白菜漬け、沢庵、らっきょうのたまり漬「小つぶちゃん」、メシ、大根とブロッコリーの味噌汁
昼飯 白菜漬け、沢庵、揚げ玉、ごぼうのたまり漬、塩鰹のふりかけのお茶漬け
晩飯 じゃがいもとピーマンのサラダ、胡瓜とこんにゃくの中華風、豆腐の中華風、木須肉の肉抜き、水餃子、「紅星」の「二鍋頭酒」(生)
2021.3.6(土) 楽な仕事
「これこれの記号番号を持つ口座の使用目的について調べている。以下のQRコードからサイトに入って記載のIDとパスワードを入力し、各設問に回答せよ」というハガキがゆうちょ銀行より届く。即、iPhoneを取りだし、作業にかかる。
質疑応答が後半に入ったあたりで「13桁の法人番号を入力せよ」という窓が現れる。金庫から取り出した法人カードの数字は12桁だ。取りあえずその12桁を入力すると、赤文字でエラーメッセージが出る。ハガキに問合せの電話番号はあるものの、いずれ「ただいま混み合っております」ではないだろうか。先を急いで「法人番号 12桁 13桁」と検索エンジンに入れてみる。
現れたサイトによれば、僕の知る12桁は「会社法人等番号」で、その頭に1桁の検査用数字を加えた13桁こそが「法人番号」なのだという。「検査用数字」とは一体全体、何だ。更に検索エンジンを頼るうち、ある数式が見つかった。それを頼りに上澤梅太郎商店の「検査用数字」とやらを算出する。そして判明した13桁を小さな窓にチマチマと入力する。
「汁飯香の店 隠居うわさわ」の、今日の口開けのお客様は10時30分にいらっしゃる。それに先だって、きのう床の間から外した絵を片づけるべく、隠居へとおもむく。「法人番号を入力せよ」にくらべれば断然、楽な仕事である。
朝飯 鰯の丸干しの網焼き、白菜漬け、ごぼうのたまり漬、メシ、菠薐草の味噌汁
昼飯 ラーメン
晩飯 めかぶの酢の物、玉子焼き、白菜漬け、沢庵、豚肉と厚揚げ豆腐の鍋、うどん、麦焼酎「麦っちょ」(お湯割り)、どら焼き、Old Parr(生)
2021.3.5(金) 9月はじめまでは
店の駐車場の、45年ぶりの舗装および白線引きは、3日間を以て完了した。今日から半年後の9月はじめまでは、よほどのことがない限り、休まず営業をする予定である。
朝礼の直後より、長男と犬走りの掃除を行う。店を挟むようにして2ヶ所にある水道からホースを延ばし、犬走りに水を撒く。鉄平石に似せたタイルをデッキブラシでこすり、3日間の埃を落とす。そこにまた水を撒き、最後はゴムべらで水を掻き落とす。
30分ほどしてタイルが乾き始めると、しかし埃はタイルの皺に深く入り込んでしまったか、大して綺麗にはならなかった。こちらはこちらで、本職に磨きを頼まなければならないかも知れない。
駐車場に建つお客様用男子トイレの際には、4日前まで自然石による車止めがあった。これまで知らずに来たことだけれど、それは一般の常識からすれば高さがありすぎると、関係者に知らされた。よって今回の工事に際しては、その自然石は外され隠居へ運ばれた。そしてこれに代わる既製品の車止めが、今朝は設置をされた。
新しい駐車場により、お客様の利便性は一気に高まった。新型コロナウイルスのワクチンが世に行き渡ることを待つばかりでなく、様々なことにおいて、会社を前へ進めていきたい。
朝飯 目玉焼き、納豆、牛蒡と人参と蓮根の炊き合わせ、菜花のおひたし、白菜漬け、ごぼうのたまり漬、メシ、はんぺんと三つ葉の味噌汁
昼飯 「大貫屋」のタンメン
晩飯 牡蠣のアヒージョ、TIO PEPE、トマトとモッツァレラチーズのサラダ、2種のパン、リガトーニとマッシュルームのグラタン、Petit Chablis Billaud Simon 2016
2021.3.4(木) 店舗駐車場の舗装工事(3日目)
道向こうの駐車場に駐められていたアスファルトフィニッシャーが、いよいよ道を渡ってこちらの駐車場に入ってくる。大型のダンプカーが、アスファルトを満載して到着する。そのアスファルトをブルドーザーが中型のダンプカーに移す。中型のダンプカーは後退をしながら、アスファルトフィニッシャーのホッパーにアスファルトを落とす。
アスファルトフィニッシャーは、きのう均された砂利の上にアスファルトを敷き詰めていく。そのすぐ後ろから、広いところはコンバインドローラーが、歩道との境目など細かいところはプレートコンパクターが転圧をしていく。
「果たして今日中に終わるだろうか」と心配された舗装工事は、16時に完了した。そこから先は、別の業者による白線引きが始まる。
「職人ひとりに馬鹿8人」という言葉がある。仕事をする職人がいれば、その至芸を見物しようとして、ポカンと口を開けた馬鹿が8人ほどは集まってくる、という意味らしい。直線や曲線はおろか車椅子に乗った人の図案までも造作なく描いてしまう、その本職の技術を脇で見守る僕もまた、馬鹿の一人である。
そうして3日間に亘った工事は17時20分に無事、完了した。明日の朝は、犬走りの埃を水で流すところから、仕事を始める予定である。
朝飯 菜花のおひたし、ゴボウと人参と蓮根の炊き合わせ、紅白なます、納豆、スクランブルドエッグ、生のトマト、白菜漬け、ごぼうのたまり漬のお茶漬け、メシ、トマトとブロッコリーの味噌汁
昼飯 「丸亀製麺」のわかめうどん
晩飯 春雨サラダ、ごぼうのたまり漬のお茶漬け、タカハラヤスヒコさんの会社の「ほぼカニ」のバター焼き、水餃子、麦焼酎「むぎっちょ」(お湯割り)、お多福豆の杏仁豆腐、TIO PEPE
2021.3.3(水) 店舗駐車場の舗装工事(2日目)
今日の工事は8時を待たずに始められた。きのう店の正面、中央付近にのみ残されたアスファルトは、いとも簡単に剥がされた。バックホーがもっとも手こずったのは、駐車場を塞ぐ鎖のための柱の撤去だった。鉄柱の収まる円筒は地中に深く埋められ、地表ちかくは40センチ角ほどのコンクリートで守られていた。「なんだかうるさいな」と外に目を遣ると、そのコンクリートの塊を、油圧ドリルを持った人が細かく砕いているところだった。
駐車場の北北東の側から砂利が撒かれ始まる。砂利はブルドーザーが平らにならし、コンバインドローラーが更に平滑にしていく。おなじ役を、水路や犬走りに沿ったところはプレートコンパクターが代わりに担う。今日は晴れて幸いだった。作業は17時すこし前に終わった。
転圧された砂利の上を歩いて、問題はないか見てまわる。駐車場の南南東に生える紅葉の根が、地面から顔を出している。放置をすれば、伸びるに従って土中からアスファルトを押し上げるかも知れない。これについては明朝、現場監督に相談することにしよう。
今日はまた、長男の2週間の自主隔離に伴って、実家で待機をしていた嫁のモモ君と子供ふたりが帰ってきた。「明かりをつけましょぼんぼりにー」と、孫のリコが夕食の席で声を張り上げる。生まれて3ヶ月のシンは、しばらく見ないあいだに隨分と育っていた。ビックリ、である。
朝飯 納豆、紅白なます、ゴボウと人参と蓮根の炊き合わせ、菠薐草の胡麻和え、白菜漬け、ごぼうのたまり漬、メシ、白菜とブロッコリーの味噌汁
昼飯 揚げ玉、白菜漬け、塩鰹のふりかけ、ごぼうのたまり漬のお茶漬け
晩飯 刺身湯波、白菜漬け、蛤の吸い物、ちらし鮨、「酔鯨酒造」の「八反六十 磨き60% 純米酒」(冷や)、自家製わらび餅風、Old Parr(生)
2021.3.2(火) 店舗駐車場の舗装工事(1日目)
店の駐車場に再舗装を施す工事は、その北北東の側から始まった。
45年を経たアスファルトを、バックホーが手際よく剥がしていく。広い面積が一度に剥がれたときには、それをシャベルの腹で押さえつけて割る。そのがれきが小山になると、ダンプカーが後退で近づく。バックホーは、剥がし、砕いたばかりのアスファルトをその荷台に載せる。荷台が山になるとダンプカーはどこかへ去り、また戻ってはおなじ仕事を繰り返す。店に向かって右側の一角すべてのアスファルトが剥がされたところで昼になる。
その工事の最中にも、ひとり、またひとりと、外に人の姿があらわれる。そのたび外へ出て、声をおかけする。今日から3日間を休むことは、会社のウェブページやSNSに告知を上げている。しかし大半のお客様は、そのようなものは目にされない。お客様がお見えになるたび店に招き入れ、商売をさせていただく。
午後も半ばを過ぎたところで雨が降ってくる。雨滴の量は多くないものの、風は傘を差していられないほどに強くなった。古い舗装は夕刻までに、店の正面、中央付近のみを残してほとんどが剥がされた。
明日は、どのあたりまで工事は進捗するだろう。天気は一転して、晴れになるらしい。
朝飯 独活のきんぴら、ひじきの煮物、牛蒡と人参と蓮根の炊き合わせ、菠薐草の胡麻和え、白菜漬け、ごぼうのたまり漬、メシ、揚げ湯波と絹さやの味噌汁
昼飯 「ふじや」の野菜麺
晩飯 冷やしトマト、TIO PEPE、牡蠣とマッシュルームのアヒージョ、イワシの丸干しとトマトのスパゲティ、Petit Chablis Billaud Simon 2016
2021.3.1(月) 一気の向上
法律に定められている以外の記録を残す習慣がウチには無い。創業がいつだったかも知らなければ、現在の建物の、それぞれの棟が何年何月何日に竣工したかも知らない。よって過去のあれこれを知ろうとすれば、外の資料に頼るしか方法は無い。
東北自動車道の歴史を調べると、先ずは1972年11月13日に岩槻ICと宇都宮ICのあいだが開通したとある。次に「日光宇都宮道路」とWikipediaの検索窓に入れてみる。こちらは1976年12月25日に宇都宮ICと日光ICのあいだが開通したとあった。
上澤梅太郎商店の土地は、日光宇都宮道路の今市ICから春日町の交差点までを繋ぐ道路の開削により、200メートル超が細長く削られた。それに伴って、隠居を除くすべての建物は、壊して建て替えることとなった。その完成は、上記および僕の記憶に照らせば1976年だ。ということは、店の駐車場は建設から45年を経たことになる。
その駐車場が、明日から木曜日までの3日をかけて、再舗装される。傷むたび、その部分を補修しながら現在に至った駐車場が、生まれ変わろうとしている。見た目は勿論のこと、お客様の利便性も、一気に向上するだろう。とても嬉しい。
朝飯 めかぶの酢の物、納豆、じゃがいものグラタン、白菜漬け、らっきょうのたまり漬「小つぶちゃん」、ごぼうのたまり漬、メシ、万能葱の味噌汁
昼飯 白菜漬け、揚げ玉、塩鰹のふりかけ、ごぼうのたまり漬のお茶漬け
晩飯 “Finbec Naoto”の其の一、其の二、其の三、其の四、其の五、其の六、其の七、コーヒー





































































































































