ウェブショップの運営について

1. 通信販売の面白さ。

自分のあつかう商品が、さまざまな経路を経て、間違いなく、お客様の元へ届く。このことを考えたとき、僕は、鉄道の運行を制御する電子信号や、あるいは世界中をくまなく覆いつくすウェブの持つロマンティシズムと同じものを感じないわけにはいかない。

ロマンティシズムを感じつつ商売をすることができれば、これほど嬉しいことはない。

2. いままでの積み重ね。

手紙、電話、ファクシミリなどの、これまでの受注方式を長く経験した上に、今の自分のウェブショップ経営は成り立っている。顧客名簿などのデイタベイスは、「今日から」 準備する必要がある。

3. プロに任せて任せきらず。

「ウェブペイジの作成が好き」 ということと 「ウェブペイジで商売をする」ということとは、イクォールではない。プロの知識、プロの綿密さ、プロのしたたかさは、大いに利用すべきだ。ただしウェブショップの経営者も、顧客に最新の情報を提供できるくらいの技術は、最低でも習得する必要がある。

職人しごと」 参照

4. プロを信じて盲信せず。

自分が専門とするところの知識しか持ち合わせないプロは多い。また、ウェブの世界はめまぐるしく変わり、進化する。「プロの言うことも、半年経てば間違いだらけ」 という例は少なくない。

プロによるどの意見を採用し、どの意見を退け、自分からどのような提案を出していくかは、ウェブショップの経営者が果たすべき大きな役割のひとつだ。

5. まず自分が買え。

ウェブショップで買物をすることほど、ウェブショップ運営の勉強になることはない。

・ 某繁盛店に注文を出してから手入力の礼状が届くまでに要した時間は?
・ 「代金後払いでも、踏み倒したお客は全体の0.1%」 という繁盛店の集金方法は?
・ ある優れたお店が、顧客に発行するパスワードの向こうにあったものは?

すべては、自らが買物をしてみなければ分からない。

6. 好きなことだけをせよ。

人は、好きなことについては、飽きず、疲れず、無責任にはならない。ウェブショップ経営者は、好きなことだけをすべきだ。義務感から良い仕事は生まれない。短くない日記も、僕はやすやすと早起きし、やすやすと書いている。

ただし、何から何までを自分で行おうとはしないことが肝要だ。

単純ながら正確な手順が要求される作業については、これをブラウザ上で 「いつ」 「だれが」 「どこで」 でも処理できるような設計を採ることが、顧客へのサーヴィス向上に繋がる。

7. アクセス解析はマイツール。

サーヴァーを置いている "Computer Lib" から毎日0時に届くペイジごとのアクセス数は、マイツール に取り込んで、自作のマクロを走らせる。全201ペイジが、1秒で自分の求める順にソート(並べ替え)され、その後のデイタの加工も自由自在だ。多くの人は、つまらないことに時間を費やしている。

8. ITバブルって、なんだ?

人類の3大発明は、「火」 「蒸気機関」 「コンピュータ」 と言われるが、インターネットは、それに続く第4のものだろう。火が無くては人は生きられず、蒸気機関はクルマにその姿を変えた。"ENIAC" に始まったコンピュータの歴史は、今年で57年目を迎える。

僕は商売というものを、長い時間の中で考えている。

9. i-modeの効用。

2002年秋に第7回目の懸賞企画を行ったとき、ブラウザから発信された応募が6,190件だったのに対し、i-modeなど6種の携帯電話によるものは6,642件と、これを初めて追い越した。

「飲食店の予約くらいならいざ知らず、携帯電話で形のある物は売れない」 とする考えは、既にして遠い過去のものになった。携帯電話の中にも、顧客と店とを結ぶ厚い縁が芽生え始めている。

10. 僕の限界。

新聞は読まず、テレビも見ない。平積みの本は買わず、流行には背を向ける。世間でもてはやれているものが僕にはさっぱり面白いとは感じられず、興味は往々にして、忘れ去られ、うち捨てられたものばかりへと向かっていく。

つまり僕には、「これから世間が何を求め」 「何が支持されるのか?」 ということが、皆目わからない。自分の好みの反対を行けば、物は売れるのだろうか? しかし、それはできない。

11. 今後について。

このカンファレンスの説明の中で、"Computer Lib" のナカジママヒマヒ社長が

「現在、ホームページからは、毎日コンスタントに注文が入り、単価500円の漬物を、多いときで1ヶ月に100万円、販売します」

と書いたことについて、オッチョコチョイな友人が、「凄いな、1日で100万円か」 と言ってきた。そのときから僕は、自分が運営するウェブショップの目標を 「1日100万円の売上げ」 と定めた。

自分の限界を十分に認識する僕に、その数字を達成する日の来るや否や。


上記は、2003年1月23日に東京国際フォーラムで開かれた

"CPL user conference VOL.1" 「ホームページを活かし事業を継続発展させよう!」

の事例発表を元に、作成したものです。


conference
2003.0201