勝手に観光協会
むかし、「勝手に観光協会」という活動を、みうらじゅんと安斎肇がやっていました。(いまもやっているのか?)
地方各地にある、なんともいえない脱力な、アレなものを紹介して顕彰するというものでしたが、地域に昔から普通にあるもの/地域にほんとうに根ざしているものって、その土地にいる人だったり、まして、ウチのように、日々観光にみえるお客様に接している身としては「えっ、そんなものが面白いんですか???」と思ってしまうようなものが、しばしばあります。
とはいえ、そんな自分も、海外に行ったりすると、なるべく地元の人がいくようなレストランを探したり、小汚い(失礼!)屋台で100円ぐらいのラーメンを食ったり、タクシーの運転手さんによくいく店を教えてもらったりして欣喜雀躍しているわけです。「行き当たりバッタビ」なんていうのは、救済しようのない、まったく天を仰ぎ見るしかない、それがユーモアだと思われているような状況それ自体ゲンナリするような言葉遣いだと、ふだんは思っているのにもかかわらず!です。
だから、それゆえに、「観光」というのは、名所旧跡にあるのではない。むしろ、名所旧跡はシンボルであって、そういうものをかつてつちかった、そして今も厳然としてそこにある、その場所の日常・風土・そのもの(それがたとえ「トホホ」なものだったとしても、)を楽しむものだと思う次第です。まさに「行き当たり」でしか遭遇できない、その土地、その土地の人、しか持っていないもの、に出会うために、誰しも旅行をするんです。
バッタビ。
まことに勝手なかぎりですが、ひとことでいえば、それがエキゾチシズムですよね。
日常をディグれ。その足元を。
というわけで、この展覧会です。
東京、渋谷、ヒカリエ8階にある「d47 MUSEUM」にて、現在開催中(7月8日まで)の展覧会「Fermentation Tourism Nippon 〜発酵から再発見する日本の旅〜」です。
日本全国47都道府県まさに津々浦々・深山幽谷の各地から、各都道府県につき1点、醗酵食品があつめられ、それが一堂に会しています。
たとえば、いままできいたこともないような「なり」ですとか「せん」ですとか。
まさに、その土地・その日常に根ざし、いのちを永らえてきた醗酵食品の数々に、ここで出会うことができます。
その担い手は、ほとんどが地元の中小企業、あるいは、家庭の主婦たちです。なかには、日常の食品としての使命はほぼ終え「保存会」が技術を絶やさないために作っているという、いわばギリギリものもあります。
度肝を抜かれた「あおちゅう」
栃木県からは、弊社の「たまり漬」を選んでいただいたこともあり(これがこのブログの眼目です笑)、初日のキックオフイベントに参加してきました。いま流行りの「クラウドファンディング」で開催資金を投じ、なおかつ無償のスタッフとなってこの会を支えたいという大変熱心なファンのかたが、大勢いらっしゃっていました。また、トークショーも開催され、会場は一種特別な熱気につつまれていました。
会の後半は、展示品を実際に食べることができるオープニングパーティ。併設の「d47食堂」の料理人のみなさんが、まさに腕によりをかけて、食事を用意してくださりました。
ここで驚いたのが、東京都代表、青ヶ島(伊豆諸島)の「あおちゅう」です。
麦麹とさつまいもから造る焼酎とのことですが、その麹だねは、完全に天然のもの。つくり方を聞くと、
「麦を蒸したものに、島に原生するシダの葉を覆いかぶせて、暖かいところに置いておく」
だけだそうです。すると、いろいろな色のポワポワがでてきて、なんとなく麹になっているという。なんという野生の技術!
風味は、ほろ苦いようでもあり、やや酸味があるようでもあり、もちろん芋の香りもあり。とにかく雑味成分が多い焼酎、という印象。
そして、その雑味こそが、クセになるうまさの源泉なのです。なんだこのサケ、、、、、
というわけ、ほろ酔い気分で、今回のメインキュレーターの小倉ヒラクさんと、d47 MUSEUM 館長のクロエミホさんと記念撮影したのでした。
毎週金曜日、カクウチも開催しているようですよ。
d47食堂では、毎週金曜日に、展示品をつまみに酒がのめる「角打ち」イベントも開催しているようです。
おお、とくに今週末は「あおちゅう」の会ではないですか!
https://47hakko-aochu.peatix.com/
ということでみなさん、ぜひ行ってみてくださいね。
センスオブワンダー。
地元のおもしろ、自分の足元にあるもの、そのちいさい声を聴きわける耳をもっていたいものです。
自戒をこめて。