2024年2月15日に配布したうめたろう通信vol. 33 のバックナンバーです。
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【 巻頭 】今市歳時記(13)
二月十一日(日・祝)は、今市のまちのだるま市、「花市」が開催されました。JR今市駅前の大通りを封鎖して、だるまの他、多くの露店がでました。昨秋の屋台祭りでもそうでしたが、昔ながらのお祭りがコロナ禍から戻ってきたことで、町のなかに本来あった賑わいが戻ってきたような感じがいたします。この花市に合わせて、「清開」蔵元の渡邊佐平商店さんといっしょに、蔵見学のイベントも開催させていただきました。こちらも多くのご参加をいただきました。御礼申し上げます。
もくじ
- 【 巻頭 】今市歳時記(13)
- 【 読みもの 】一般漬物学入門(14)・・・1
- 【 ご説明 】セットの内容について・・・2
- 【 お知らせ 】汁飯香の店 隠居うわさわ・・・6
- 【 巻末 】よくぞご無事で!
【 読みもの 】一般漬物学入門(6)
『延喜式』にみられる
菁根須須保利 一石 料 塩六升 米五升
の記述が、塩度約5%の漬物のレシピらしいということは、前回までにみたとおりである。次に道具立てだが、容器については、同じ『延喜式』「内膳司」章に、他の漬物を作る際の道具として、
柏三十五把 帊瓼口料 匏二抦 汲汁料
との記述がある。瓼口に帊(は)する、とは何のことだろうか。「瓼」はさらけと読み、国字(日本独自の漢字)である。浅めの甕(かめ)を指し、時代的に須恵器であると思われる。「帊」は、九〇〇年代に書かれた中国の字典にすでに収録されている漢字で、小さめの布を複数枚つなげて大きくした布で身体や物を覆う、という意味がある。したがって、この記述は、柏の葉35束を敷き詰めて、甕(須恵器)の蓋とした、と解釈できる。「匏」はひさご、ひょうたんの意味で、汁気を汲みだすのに使うとある。容器についてここまで細かく指定があるのにも関わらず、重石についての記述はない。漬物とは、内蓋をして重石で押すことで嫌気性の環境を作り、好気性菌の生育を漸減させる=素材の保存性を高める技術といえる。圧力の存在はある意味で、塩以上に重要である。その記述がなぜないのだろうか。
【 ご説明 】セットの内容について
日光の節分を味わうセット
このたびは第42回目の日光美味定期便にお申込みいただき、誠にありがとうございます。2 月3 日は新暦節分ということで、日本橋高島屋さんの地下催事に出店中、催事スペースの向かいにあった常設のおすし屋さん「浪花寿司古市庵」さんが大変な賑わいようでした。すっかり東京にも定着したらしく、日本橋高島屋の地下は、一年でいちばん、このときがお客様が多いそうです。
それでは、以下、今月の内容です。
それでは、以下、今月の内容です。
これまで何度も書いていますが、大阪・八尾にある與兵衛桃林堂さんのお菓子が好きです。楚々として飾り気がなく、しみじみおいしい。こういう品物がつくりたい、といつも思っています。このお店のお座敷の落語会で聞いた桂南天さんの「遊山船」が素晴らしい一席でした。中盤に、ちょっと下品な遊びとして太巻きを切らずに一気に食べる、という描写がでてきます。節分のたびに思い出します。
一、北野谷商店(今市小倉町四丁目)さんのバタ練りこんにゃく
こんにゃくといえば上州からっ風の群馬県が名物ですが、同様に、隣県の栃木でもこんにゃくはさかんに作られています。芋から蒟蒻を作る手間は相当で、まず蒟蒻芋をすりおろして水にさらし、毒性を抜かなければなりません。それで得られるこんにゃくは、ほぼノーカロリー。食物を得るために投じるエネルギーと、その食物から受けられるエネルギーが釣り合っていません。なぜわざわざこのようなものを食べるのでしょうか。北野谷さんのこんにゃくを食べて、その理由がわかった気がします。食感が、皮つき豚三枚肉の、コラーゲンの部分にそっくりなのです。これは精進、代用肉なのだとわかりました。
二、上澤梅太郎商店(今市春日町一丁目)の田楽みそ
ふだんは各店さまのお品物を紹介してから当店の品物の説明に入るのですが、こればかりはこんにゃくと横並びで紹介させてください。日光味噌梅太郎(赤味噌)で造った田楽みそです。レシピは、宇都宮の料亭「了寛」さんにいただいたものです。下ゆでして、かるく炙ったこんにゃくを、この味噌で召し上がってみてください。ごはんのお伴でも、おつまみでも。味見の箸が止まらなくなります。
宇都宮の料亭「了寛」さんは、お父さんが骨董と最中のお店「たまき」を運営されており、当店は先代からお付き合いをさせていただいています。その了寛さんの弟さんご夫妻、メディアアートの作家さんなのですが、このほど東京から鹿沼に移住され、現代美術のギャラリー兼ゲストハウスをはじめられました。その名も”CENTER’’ 。世界各地から様々な作家さんが集まる場所になっています。
三、一秋庵久埜(今市森友)さんのもなか
おなじみ、久埜さんのもなかをお届けします。皮の香ばしさ、北海道産の小豆から炊いた餡のコクをお楽しみください。本来であれば、季節の上生菓子をお召し上がりいただきたいのですが、配送の都合上、どうしてもお送りできるのは限られたもののみになってしまいます。あとはぜひ当地でお召し上がりください。(いまの時期はうぐいす餅や草餅がすばらしいです。夏は青海苔が香る麩まんじゅうが絶品。年末の和栗だけで炊いた栗きんとんは、一度食べたら忘れられなくなりますよ。)
久埜さんの旧店舗は、当店から徒歩数分の立地にありましたが、現在は車で10 分ほどの郊外に移られましたが、味は健在です。バイパス沿いの、うっかり見逃してしまいそうな立地にありますが、知る人ぞ知る名店で、季節のお菓子は予約なしで行くとすでに売り切れてしまっていることも多々あります。
四、上澤梅太郎商店の豚の味噌漬
*本品は、必ず加熱してから召し上がってください*
*到着日にお召し上がりいただけない場合は冷凍して、できるだけ速やかに食べきってください*
*到着日にお召し上がりいただけない場合は冷凍して、できるだけ速やかに食べきってください*
先々代の上澤梅太郎が、なじみのお客様だけにお分けしていた「豚の味噌漬」。当時を知る人たちからレシピや味の感想を聞きとり、再現したものです。当店は生肉を扱うことができませんので、加工は近所のお肉屋さん「鳥秀」(とりひで)さんに委託しています。ロース肉を使用していますので、焼くまえに脂身の部分に包丁を入れて筋切りすると綺麗に焼けます。味噌が焦げやすいですので、ぬぐいとってから弱火でじっくり火を通してください。
五、上澤梅太郎商店の芥子なす
当店の「茄子のたまり漬」を練りからしと和えたものです。「隠居うわさわ」では、これだけでごはんが何杯も食べられると、陰の人気商品になっています。
六、上澤梅太郎商店のごぼうのたまり漬
食感を出すために、敢えてこの太さのものを選んで漬けています。七味マヨをつけておつまみに。
七、上澤梅太郎商店の「浅太郎」
定番のらっきょうを淡口仕上げで。カレーのおともにぜひどうぞ。
今月も誠にありがとうございました。来月3 月は旧暦の初午、そしてひな祭りとなります。当店におきましては、高校を卒業した新人が入ってくる月、そして、冬~春にかけての仕込みシーズンが大詰めを迎えるころになります。暖冬の年ほど、春めいてくるころにドカ雪が降ったりいたします。みなさまどうぞお元気でお過ごしください。
【おしらせ】
2024 年3 月2 日(土)より営業再開いたします。
汁飯香の店
隠居うわさわ
ごはん、味噌汁、潰物のよろこびをお伝えします。
〒321-1261
栃木県日光市今市487
Tel 0288-25-5844
栃木県日光市今市487
Tel 0288-25-5844
毎週土日月のみ8:30-14:00まで営業
*一組様ずつ土鍋で炊飯するため、事前予約いただけると助かります。
0288-21-0002(代)
GoogleマップQRコード
*一組様ずつ土鍋で炊飯するため、事前予約いただけると助かります。
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【 巻末 】よくぞご無事で!
今月、当店が日本橋高島屋さんに催事出店させていただいた際に、偶然バックヤードで輪島朝市の水産屋さん「輪島海房やまぐち」さんをお見かけしました。毎年催事で一緒になるお店さんなので心配していましたが……。輪島の本店舗は全焼してしまったとのことでしたが、ご家族/従業員の皆さんは全員無事、工場も倒壊をまぬかれ、すでに完成していた商品も無事とのことでした。高島屋さんの計らいで、発災直後にひとづてに連絡があり、品物はすべて高島屋の冷凍倉庫に避難させることができたそうです。2月15日(木)から20日(火)までは新宿伊勢丹の地下催事に出店される(高島屋さんの懐の深さよ!)とのことですので、よろしければお寄せください。
梅太郎通信 vol.43
2024年2月15日
2024年2月15日
- 文・絵・レイアウト
- 上澤佑基
- 発行者
- 株式会社上澤梅太郎商店
- 発行所
- 株式会社上澤梅太郎商店
株式会社上澤梅太郎商店
〒321-1261栃木県日光市今市487
0288-21-0002(代)