2023年8月15日に配布したうめたろう通信vol. 37のバックナンバーです。
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【 巻頭 】今市歳時記(7)
七月には猛烈な暑さがやってきましたが、八月に入ってもとどまるところを知りません。町では、如来寺さんが中心になって竹を手配してくださり、各商店に七夕飾りをかざっています。当店は、旧暦の七夕 八月二二日まで飾り付けを出しておきたいと思っています。八月一三日はお盆の入りです。農家さんは、田んぼの真ん中にお墓があるようなところも珍しくないので、道からもその様子がよく見えます。みなさん朝から、お花や思い思いのお品をお供えしていらっしゃいました。
もくじ
- 【 巻頭 】今市歳時記(7)
- 【 読みもの 】一般漬物学入門(9)・・・1
- 【 ご説明 】セットの内容について・・・2
- 【 お知らせ 】汁飯香の店 隠居うわさわ・・・6
- 【 巻末 】みのりの夏
【 読みもの 】一般漬物学入門(9)
日本における漬物の記述例の最古の例は『延喜式』となる。その製法は大別して一、塩漬 二、糟漬 三、醤漬 四、須須保利漬 五、葅 六、搗 七、荏裹 となっている。三番目の醤(ひしお漬)、七番目の荏裹(えづつみ)は、いずれも醤油状の調味料に素材を漬けたものと考えられるが、当時の「醤」は、現代の醤油というよりはむしろ味噌や「たまり」に近いものだったと考えられる。また、荏裹(えづつみ)は、エゴマの葉に素材を巻いて醤に漬けるもので、これは現在の日光名物「しそ巻唐辛子」とほぼ同じ製法であると考えられる。ただし、唐辛子は新大陸からもたらされたものなので、本邦で食べられるようになったのは十五世紀~十六世紀ごろである。
『延喜式』にみられる漬物のレシピを見てみると、葉物野菜を漬けるレシピで最低塩度1%から、実物野菜を漬けるレシピで最高塩度20%強のものまである。この塩度の多様性は、保存を目的としたいわゆる「古漬け」から、単に塩水で調味した生野菜といった位置づけとなる「浅漬け」まで、プロダクトの多様性を示すものでもある。一般に、塩度10%を超えないと長期保存は難しい。「漬物は保存食であった」という言説は、実は、現実の一端のみを切り出したものであって、その起源から、漬物は高い嗜好性を具備した食品だったということができるだろう。
『延喜式』にみられる漬物のレシピを見てみると、葉物野菜を漬けるレシピで最低塩度1%から、実物野菜を漬けるレシピで最高塩度20%強のものまである。この塩度の多様性は、保存を目的としたいわゆる「古漬け」から、単に塩水で調味した生野菜といった位置づけとなる「浅漬け」まで、プロダクトの多様性を示すものでもある。一般に、塩度10%を超えないと長期保存は難しい。「漬物は保存食であった」という言説は、実は、現実の一端のみを切り出したものであって、その起源から、漬物は高い嗜好性を具備した食品だったということができるだろう。
【 ご説明 】セットの内容について
日光の梅雨を楽しむセット
このたびは第36回目の日光美味定期便をお申込みいただき、誠にありがとうございます。それにしても毎日毎日暑いですね……。いちおう、今市周辺は、朝晩は涼やかな空気が山から降りてきて過ごしやすい気候ですが、さすがに日中の日差しの強さはどうにもなりません。また、よりによって観光シーズンに台風が近づいているので、それにも気を揉んでいます。それでは、以下、今月のお品物のご紹介です。
一、グルメミートワールド(日光市土沢)さんのベーコンブロック
*お召し上がり前にかならず加熱してください*
日光市塩野室(針貝)地区で生産されるSPF豚である日光ヒミツ豚のバラ肉を使用して、伝統的な乾塩製法で製造したベーコンです。薄切りにしてフライパンでしっかり焼き付けると、きちんとカリカリになります。たまごとあわせてベーコンエッグにしたり、スープに入れるといい出汁がでます。どうぞお試しください。
当店の前・工場長の息子さんが、ヒミツ豚の養豚場に勤務されているというご縁で、飼育の現場の見学をお願いしたことがありました。すると、明確にNOのお返事。「衛生管理実施のため申し訳ありませんが……」ということで実現しませんでした。たしかに豚熱など伝染病の流入は恐ろしいもので、却って品質に対する信頼が高まりました。日光の音読みで「ヒミツ」だけではない、というわけです。
二、日昇堂さん(日光市今市川原町)のいちごチョコレート
いまでは「日光ラスク」が大当たり、日光を代表する総合菓子メーカーの日昇堂さんですが、もともとは創業80年を超える老舗の和菓子店です。こちらの日昇堂さんで作られている「とちぎのまるごといちごチョコレート」は、日光市内産のいちごを凍結乾燥させ、日光ラスク同様、いちごの果肉の内部までチョコレートを浸透させる特殊な製法で作られています。冷やしてお食後にどうぞ。
学生時代、山手線沿いを歩いて回ってみたとき、田端駅前に「芥川チョコレート」という看板があって印象に残りました。田端なので芥川龍之介と関係あるのかな、と思って調べたら、まったく関係ないようです。日光市内にチョコレート組合の原料工場ができたことで、市をあげての「チョコ推し」が始まっていますが、芥川チョコレートの倉庫も今市にできていました。盛り上がってきてますね一
三、上澤梅太郎商店(春日町一丁目)のモッツアレラチーズのたまり漬
お問い合わせの多い「チーズのたまり漬」ですが、乳製品ゆえの保存性やアレルゲンの扱いがなかなか難しく、定番商品にするにはいたっていません。今回は、ひとくちサイズのモッツアレラチーズ(ボッコンチーニ)を「日光味噌のたまり浅漬けの素~朝露~」で漬けたものです。「朝露」は、野菜の漬物だけでなく、このような他の素材にもよく合います。ご家庭でもぜひお試しください。
四、上澤商店のらっきょうのたまり漬
定番のらっきょうのたまり漬です。基本的には栃木県産のらっきょう、時期によっては宮崎・鹿児島・茨城のものを使うこともあります。数か月間の塩蔵ののち、甘酢とたまりで仕上げてあります。今年は七月に九州南部に集中豪雨があったことで(毎年こんなニュースばっかりなのですが)なかなか収穫が進まずハラハラし通しでした。おかげ様で栃木産を中心に関東は比較的気候が安定して、豊作傾向となりました。これから作付けに向けた畑づくりの季節となり、九月のお彼岸まえにはタネを植えるような段取りになっています。
九州は大雨と日照りの繰り返しということで、気の毒の一言です。9月に入れば生姜の収穫がはじまりますが、いまの時期に雨が少ないと生育が不良になってしまうのではないかと心配しています。野菜の生産量の多い地域ですので、九州が不作だと、全国の相場に影響が出ます。近所の和菓子屋さんも、熊本で栗が採れないので相場が上がって大変……という話をしていました。
五、上澤商店のひとくちきゅうり
きゅうりのたまり漬を小口切りにしたものです。胡瓜はかつては福島県須賀川市のものを使用していましたが、原子力発電所の事故後の風評被害により廃業など相次いでしまい、現在ではほとんどのものを栃木県内産でまかなっています。お盆に前後して収穫し、塩で押しつつ脱水します。塩潰の段階で2~3回漬け換えをして、十分に脱水と乳酸発酵を進めていきます。その後、たまりに漬け込み、さらに数度漬け替えをして完成させます。独特の発酵の風味と、しゃきしゃきの食感をお楽しみください。
六、上澤商店の刻みザクザクしょうが
当店には、しょうがを使った漬物は3種類あります。定番の「しょうがのたまり漬」、丸いタッパーに入った「栃木県壬生町産のしょうがです。」「刻みザクザクしょうが」です。定番のものはタイ北部で収穫されたしょうがを塩蔵状態で輸入し、当店でたまりに漬けています。「壬生町産の〜」と「刻みザクザクしょうが」はどちらも栃木県産の野菜ですが、じつはしょうがの種類がちがいます。「壬生町産の〜」はスライスで食べる前提なのでやややわらかく甘味がある等級のもの、「刻み〜」はみじん切りが前提なので、もうすこしパンチのある辛味や香りの強いものを使っています。タネ明かし的な話になってしまいますが、微妙なチューニングをほどこしてあるのです。
今月も誠にありがとうございました。皆様どうぞご自愛ください。
来月の内容は、以下のとおりです。
- ・秋澤農園さんの梨
- ・がんこ職人さんの柿の種
- ・たまり漬オリジナルステーキソース
- ・らっきょうの浅漬け一夏太郎一
- ・みょうがのたまり漬ほか2品
です。どうぞお楽しみに!
【おしらせ】
汁飯香の店
隠居うわさわ
ごはん、味噌汁、潰物のよろこびをお伝えします。
〒321-1261
栃木県日光市今市487
Tel 0288-25-5844
栃木県日光市今市487
Tel 0288-25-5844
毎週土日月のみ8:30-14:00まで営業
*一組様ずつ土鍋で炊飯するため、事前予約いただけると助かります。
0288-21-0002(代)
GoogleマップQRコード
*一組様ずつ土鍋で炊飯するため、事前予約いただけると助かります。
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【 巻末 】みのりの夏
お盆まえに秋野菜の段取りをしなければ、と、毎年恒例の、日光市小来川(おころがわ)~鹿沼市板荷(いたが) エリアの農家さんの巡回に行ってきました。小来川は、近年大注目の「天然氷」の池がある場所。夏は川遊びの 知る人ぞ知る名所でもあります。ここから道路を鹿沼市 側に行くと板荷。林業の町として、良質の杉材や檜材を 産出しています。各農家さんにお土産など渡しながら、野菜の生育状況など伺い、たまには軒先でお茶を呼ばれ、昔話などを伺う。あらゆる仕事のなかで、これが一番好 きな仕事かもしれません。「昔はしその実といえば秋彼岸で、村内の有線で『そろそろ収穫しましょう』って流れてたけど、今年は1カ月も早そうだねえ」。
梅太郎通信 vol.37
2023年8月15日
2023年8月15日
- 文・絵・レイアウト
- 上澤佑基
- 発行者
- 株式会社上澤梅太郎商店
- 発行所
- 株式会社上澤梅太郎商店
株式会社上澤梅太郎商店
〒321-1261栃木県日光市今市487
0288-21-0002(代)