「ふつう」を考える。
「こういう場合、普通〇〇ですよね?」と言われると、誰しも腹の立つものだ。
お前の常識なんて、こっちは共有してねえよ。仲間内のじゃれあいならばそれでもいいが、相手がお取引先さまだったり目上の人だったりすれば、そうもいかない。
そこでフト思う。コチラが当たり前だと思っていることも、相手に通じていないのではなかっただろうか?
「汁飯香の店 隠居うわさわ」は、当店が時代に掲げた「旗」のようなものです。しかしそれは凝りに凝ったことをしたいわけでもなく、仰々しくするつもりも全然ない。
これまで家庭で培われてきた「ふつう」を体験していただく場所です。門に水をまく。庭の落ち葉を掃く。部屋を暖める。メシは都度都度、釡で炊く。漬物も、都度切る。味噌汁の具は簡素でも薬味は盛る。急須でお茶を入れる。
おかずも、和え物・煮物・焼き物など、ありふれたものしか作らない。季節ごとに野菜や果物が変化していくので、お膳の内容は勝手に変わっていく。
貫く棒の如く、徹頭徹尾、「ふつう」を目指す。すると、なぜだかわからないが、いままで当たり前だと思っていたものが、とてもいとおしむべきものと思えてくる。
そんな境地を目指したい、そして、そういった「ふつう」の場所に寄り添うのが、当店の味噌や漬物であってほしい。そんな風に思っています。
「ふつう」を考える
公開日 : / 更新日 :
「民藝の100年」