人にとって「おいしい」とは何かー。絵を描いている叔母に唐突に問われて、返答に窮してしまった。もう何年も前のことである。考えれば考えるほど、単純なこたえに還元しがたい。なぜならおいしいか否かは、結局は、個人の主観にすぎないからである。


しかしながら、それでもなお、比較的多くの人が感じるおいしさというものもあり、批評が介在する余地もあるものなので、敢えてでも概念を一般化していかなければ、「おいしさ」を目指す仕事をしようとするとき、その方向性が見い出せない。


芸術を仕事としている叔母にとっては、個人にとっての「美」をいかに一般化・具現化すべきか、日常的な関心事なのだろう。非常に似ている、と思った。(つづく)