1.栽培
らっきょうは毎年、日本全国で1,000ヘクタールほどが栽培されています。
主要な産地は鹿児島、宮崎、鳥取などで、関東では茨城と栃木で多く栽培されています。
らっきょうを食べるのは、実はほとんど日本人だけ。
昔ながらの品種を守っている作物ですが、言い換えれば、世界的な改良が進んでおらず、収穫期になっても、畑にできるのは粒が不揃いな大小さまざまのらっきょうです。
それらは収穫後に何度も選別され、小さい粒は花らっきょうとして、大玉は歯ごたえを楽しむ漬物として出荷されます。
2.収穫
毎年8月から9月に種球を植え付け、翌年の暑い盛りの7月なかごろに収穫します。
見渡す限りのラッキョウ畑。夏の強い日差しのもと、麦藁帽、スカーフ、手っ甲などで強い日差しから身を守り、収穫にいそしみます。
まずは、人が手で掘り出しやすいよう、スコップで土を持ち上げていきます。
その後、人の手で丁寧にらっきょうを持ち上げて収穫していきます。
意外に、ニラのように長いでしょう?これがらっきょうの葉っぱです。
もちろん食べられませんが、切れてしまうと収穫しづらくなるので、慎重に扱います。
腰が痛くなる重労働ですが、収穫の喜びがそれを忘れさせてくれます。
3.一粒の豊かさ(整形作業)
畑で根っこと葉を落とし、水洗いしやすい形に整えます。
らっきょうの収穫や整形作業は機械化できず、すべて手作業です。
らっきょうは、ネギ系植物の球根(鱗茎)を食べる野菜です。
そのため、葉と根は切り落とし、食べる部分はほんのわずか。
一粒に込められた豊かさを丁寧に大切に形にしていきます。
4.たまり漬に
通常、一般メーカーさんの漬物は以下のような工程を経て皆さんの手もとに届きます。
特徴としては、袋の中で味をつけることです。調味液に漬けこんで加熱することで、味が仕込み込み、漬物となります。これはごく主流の漬物工程で、これにより、大量生産が可能になるため、多くのお客様に安くお届けすることができます。スーパーに並んでいる多くの漬物もこのような工程をたどっています。
デメリットとしては、歯ごたえや香りが無くなってしまうことです。
一般メーカーの漬物行程
対して当社は以下のような工程をとります。
大きな違いは、調味液への漬けこみをせず、従来の漬物の漬け方で、何度もツユの味を微妙に変えて漬けていくことです。浸透圧の関係で、徐々に味をつけることで野菜本来のハリを保てるというメリットがあります。
素材により、何度まで漬けるかは変わります。(らっきょうは第3漬けまで、大根は第8漬けまでなど)
ツユは都度捨てます。また、1回の漬けで1~2か月位かかりますので、時間もかかります。
そして、素材本来の歯ごたえ、シャキシャキ感を残すために、加熱殺菌はしません。
効率より味を重視することが、当社のポリシーです。
上澤梅太郎商店の漬物工程
シャキシャキの理由は、
「非加熱」。
上澤はなぜ「非加熱」にこだわるのか。
それは、常温で長く保存することを目的とした「加熱」を行うと、らっきょうが本来もつ力強い歯ごたえと風味が、弱められてしまうから。
素材の食感を守りつづけるため、上澤の「たまり漬」は「非加熱」。
シャキシャキの歯ごたえこそ命だから、ゆずれない。